新人からシニアまで、恥をかかないために…今さら聞けないマナーの基礎知識

新社会人だって基本ぐらいは知らないと(C)iStock

新年度入りして早くも3週間近い。通勤時間帯には混雑した車内でパリッとしたスーツを身につけている新入社員を見かける。配属先が決まるのはもう少し先、いまは研修中という新人も多い。この先、社会人として恥をかかないためにも“マナーの常識”は知っておきたい。

■自己紹介のポイントは4つ

今年の新入社員は大学入学時にコロナ禍に見舞われた。入学式が中止になったケースもたくさんある。

授業そのものはリモートが主流で、キャンパスに行く機会はグッと減った。サークル活動は自粛続きで、飲み会ではしゃぐことも少なかった。

「先輩や後輩との交流が少ない世代なのかもしれません。社会人になって歓迎会などもあるようです。ちょっと緊張しますね」(20代の新入社員)

最初の一歩は自己紹介だ。マナー講師の金森たかこさんは、本紙連載中の「それ間違いかも? ビジネスマナー常識チェック」で、次のように指摘している。

「自己紹介は第一印象を決める大切な場です。ポイントは4つ」

1つ目は表情。もちろん大切なのは笑顔だ。2つ目は姿勢。姿勢のよさは堂々とした印象を与える。3つ目は話し方で、明るくハキハキが基本。4つ目は声の大きさ。「一番遠くにいる人に話しかけるように声を出す」といい。

自己紹介で最も重要なのは名前を覚えてもらうこと。そのための技は3つある。

①名前の由来など、名前にまつわるエピソードを話す。

②名前に使われている漢字を説明する。近ごろはキラキラネームもいっぱいあり、漢字を読むのが難しい。「よく名前を間違えられます」と自分から話すのもOK。

③歴史上の人物など有名人と関連づけて説明する。

これで名前を印象づけられる。

「乾杯!」グラスの位置はどこ?

春は飲み会(会食)が増えるシーズンだ。歓送迎会にはじまり、会社の部署のメンバーが替わったので懇親会、最近は減少傾向とはいえ「ちょっと一杯やっていく?」と先輩に誘われる場面もなくはない。同期と飲みに行くケースも多々ありそうだ。

会食のマナーを知っていれば「おっ、この新人やるな」と思われるかもしれない。

「カンパーイ!」のとき、グラスはどの位置が正解か。新人歓迎会なら全員起立しての「カンパーイ!」もある。

正解は胸の前だ。どんなに喉が渇いていても焦ってはダメ。乾杯の声のあと、笑顔でまわりの人とアイコンタクトだ。そして一口飲んで着席。

「じゃあ今日は新人さんの挨拶から」とふられたら、再び立ち上がって頭を下げる。

ポイントは聞いている人が理解しやすいスピードで話すこと。時間は1~2分がちょうどいい長さで、1分間に話す文字数は300が目安。このペースを心がければ怖いものなしだ。

覚えておきたい応接室の席次

大人の常識で知らないと格好悪いのが席次。レストランなどでの会食で新人が上座に座ったら上司は恥をかく。

基本は出入り口から一番遠いところが上座だ。和室の場合は、床の間の前が上座となる。中華料理の円卓(丸テーブル)も、出入り口から最も遠いところが上座で、最上位の人の右側が2番目、左側が3番目となり、その次は右、そして左となっていく。

「会食の場や応接室の席次などはシニア層でも理解していない人は大勢います。新人がしっかりやっているのに、シニア世代が知らなかったらみっともない。せめて席次ぐらいは頭に入れておいたほうがいいですね」(金融関係者)

応接室はドアから最も遠いところが上座。その次はその隣で、出入り口に一番近い席が下座だ。長椅子(ソファ)がある場合は、ドアから一番遠い長椅子の場所が1番で、そこから順に2番、3番(出入り口に近いところが2番で、中央が3番とするマナーもある)。

間違ってはいけないのが1人で座る椅子のほうが下座だという点。「お客さまは長椅子」と覚えておきたい。

会議室になると、またちょっと違ってくる。ドアから遠い方が来客の席に変わりはないが、座る位置は中央が1番、出入り口から遠いところが2番、近いところが3番だ。

円卓のときは、ドアから最も離れているところが1番、そこから左、右、左、右……と座っていく。中華テーブルは反対の右、左の順だから、混乱しないように気をつけたい。

■タクシーやエレベーターにも席次がある

タクシー(自動車)の席次も知っておきたい。運転席の後ろが1番で、反対側の窓側が2番、真ん中が3番。助手席は4番となる。ただし、運転手が上司や客だったら、ガラリと変わる。助手席が1番で、運転席の後ろは2番目になる。

エレベーター内の席次もある。本来、社長がいるべき位置に新入社員が陣取ったら目も当てられない。操作盤(ボタン)の前が下座で、その後ろが上座だ。エレベーター内が混雑していたら、それほど席次は気にする必要はないが、ガラガラのときに突然、社長が乗り込んできたら大変。

マナーの常識を知っておくことは大切だ。

© 株式会社日刊現代