減らない子どものSNS性被害…処罰が甘すぎるのか?【「表と裏」の法律知識】

今の小学生は低学年から携帯電話やタブレットを操る

【「表と裏」の法律知識】#231

今の小学生は、低学年のうちから携帯電話やタブレットを操っています。そんな時流に乗じて、判断能力のない子どもたちを食い物にする性犯罪がまん延しています。

今年の2月、小学5年生の女児に自ら撮影させた性的な動画を、SNSを通じて送るよう要求したとして、わいせつ目的面会要求や映像送信要求などの疑いで30代男性が逮捕される事件がありました。

この男性の逮捕は5度目。10代の少女ばかりを狙い、信頼関係をつくった上で巧みに性への興味を刺激しながら、思春期の少女たちを手なずける、いわゆる「グルーミング」の手口で、性的な動画の要求や、性行為の撮影などを繰り返していました。

同様の犯罪の被害件数は、令和5年、警察が認知しているものだけでも527人にも上ります。私も教員の方から、小学校低学年でトラブルに遭ってしまった事例の相談を受けたこともありました。

なぜ少女たちに対する性犯罪が、増えこそすれど減らないのでしょうか。処罰が甘すぎる?

いえ、令和5年7月、刑法に16歳未満の者に対する面会要求等罪(刑法第182条)が新設されることになり、わいせつな目的で誘惑し、または脅迫などをして面会することを求める行為や、性的な部位を露出した姿態などを撮影して送信することを要求すること自体が、刑法上の犯罪行為となり、懲役刑などが科されることになります。

つまり、何度も繰り返す再犯は減らせると考えられます。

まずは、この処罰強化の法改正が広く知られることが大事で、それが性犯罪の抑止力になることを期待したいとは思います。

ただ、性犯罪者側も、巧みに親にばれないような工作をしてくるケースも少なくありません。だまされやすい子どもにインターネットやSNSを利用させることの危険性をわれわれ大人が認識することが最優先なのではないでしょうか。

(髙橋裕樹/弁護士)

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