「with MUSIC」vs「ミュージックジェネレーション」4月スタートの歌番組を徹底チェックした(桧山珠美)

有働由美子(C)日刊ゲンダイ

【桧山珠美 あれもこれも言わせて】

今春いくつかの音楽番組がスタートした。注目は日本テレビ系「with MUSIC」(土曜)。日テレがゴールデン帯で音楽番組をやるのは34年ぶりとのこと。有働由美子がニュースキャスターの座を捨てて(!?)挑む。

NHK時代は「紅白歌合戦」の司会を通算7回務めた有働、歌番組のMCはお手のもの。ニューヨーク仕込みの英語で海外アーティストへのインタビューも楽しみだ。もうひとりのMC、アーティストナビゲーターは俳優でシンガー・ソングライターの松下洸平。

初回、真っ赤な髪色の有働にぶっ飛んだ。「有働さん、髪形がガラリと変わりましたね」と松下に聞かれ、「生まれて初めて脱色して『with MUSIC』仕様……」。短くなったことも指摘されると「『スラムダンク』の(桜木)花道さんのイメージ」とうれしそう。「宇多田ヒカルSP」と題したこの日、デビュー25周年を迎えた宇多田がゲストとして登場。「シン・エヴァンゲリヲン 劇場版」のテーマ曲「One Last Kiss」と2016年に椎名林檎とコラボした「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎」を歌った。宇多田への有働のインタビューは優等生そのもので、悪くはないが面白みもない。もっとハメをはずして、有働ならではの部分を見せて欲しい。

経費削減時代にぴったり

13回の特番を経て、満を持してレギュラー化したのが、フジテレビ系「ミュージックジェネレーション」(木曜)。MCはさまぁ~ずの大竹と三村、そして、フジの井上清華。

令和、平成、昭和3世代の定番ソングをテーマ別に調査し、視聴者アンケートから「世代別ベストソング」を決定、貴重映像とともに発表する。たとえば、3世代が選ぶ「デビュー曲」。昭和世代は世良公則&ツイストの「あんたのバラード」、平成は嵐「A・RA・SHI」、令和はYOASOBI「夜に駆ける」。

この日のゲストは昭和世代に篠原涼子、平成にニューヨーク嶋佐&屋敷、令和は藤田ニコル、ゆうちゃみ。フジなので「夜のヒットスタジオ」の映像は使い放題だし、見たこともない映像も出てきたり、ライブやフェスの映像も見応え十分だ。

要するに、絶頂期を真空パックしたようなものか。ビジュアルも衰え、全盛期ほど声が出なくなった歌手に無理やり歌わせて微妙な感じになるよりもよっぽどいい。

篠原と忌野清志郎のデュエット映像では、2人がステージで「チュー」。そんな衝撃映像や本人による当時の裏話も面白い。

過去のアーカイブやMVをスタジオで見るだけの経費削減時代にぴったりな歌番組といえる。

とはいえ、本音を言えば、「ザ・ベストテン」(TBS系)のような生放送で、派手な演出のキラキラ歌番組が見たい。

(桧山珠美/コラムニスト)

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