強そうだけど痛々しい? 「体の中に武器を隠している」少年漫画の強烈キャラたち

NARUTO -ナルト- 3rd STAGE 2005 巻ノ十二 [DVD]/アニプレックス

バトル漫画やアニメの中で「武器」はかなり重要。剣や銃などメジャーなものから、鞭にハンマーにトランプといったものまで、使われる武器はさまざまだ。

また武器の出し方もキャラによって違い、最初から携帯している者や相手にバレないように隠している者もいる。

武器を隠し持つ理由としては、相手の予想を裏切るというものが挙げられ、初見ではかなり効果的といえるだろう。殺し合いをするうえで卑怯という言葉は存在しない……。まるでそのことを証明しているかのようだ。

そこで今回は、体の中に武器を隠し持つキャラを紹介していきたい。

■自らの骨を削って武器にした尸良

まずは沙村広明氏による『無限の住人』(講談社)の尸良(しら)から紹介していこう。尸良は、さまざまな達人が登場する同作の中でも類を見ないほどに外道な剣士である。共闘関係になった万次も尸良の悪辣さについていけなくなり、やがてその右手を切断してしまう。

そこから尸良は万次を敵視するようになるが、その後の行動がかなりぶっ飛んでいた。なんと彼は切り落とされた右腕の肉をそぎ落とし飛び出した骨を鋭利に研ぎ、武器にしてしまったのだ。しかも、研いでいるうちに激痛で何度も意識を失い白髪になったとも明かしており、その執念の深さが伝わる。

武器としては強いが使うたびに尸良自身にも激痛が走るという、読者からしてもあまりにも痛々しい彼の武器。その後尸良は側頭部の負傷が原因で痛みを感じない肉体を手に入れるが、それにしてもである。

そんな尸良は、万次の代わりに凶と戦うことになったが、武器化した右腕を上手く利用して戦っていた。左手には刀を握っていたので、二刀流に近い形かもしれない。凶も尸良の右腕に惑わされて上手く戦えなかった。

腕がそのまま武器になっていると、武器を持った状態での軌道を意識している者からしてみれば、その感覚を外されてしまうのかもしれない。実際、尸良の右腕には凶だけではなく万次も苦戦させられていた。

尸良は右腕の武器化により以前より強くなった気がするが、そのぶん痛々しさも増している……。

■『ジョジョの奇妙な冒険』切り裂きジャック

次は荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)の第1部に登場した、切り裂きジャックだ。それほど活躍したキャラではないので、記憶にない人も多いかもしれない。

ジャックは世間を震え上がらせる話題の殺人鬼で、ディオによって屍生人化して更に凶暴化した。ジョナサンたちを待ち伏せして襲いかかるシーンはかなり斬新。なんと斬殺した馬の体に隠れ、そこから出てきたのだ。この描写はかなりグロい……。

しかも驚かされるのはそれだけではなく、ジャックは体内に無数のメスを隠し持っており、それを皮膚をやぶり放出する攻撃を繰り出す。皮膚を突き破る描写がかなりリアルで痛々しい。攻撃を仕掛けるのにわざわざ痛そうな方法を取るのはなぜ?と不思議にも思ってしまった。

しかし、その後すぐにジョナサンに壁越しの波紋を叩き込まれ敗北。印象的な描写も虚しく、悲しい雑魚キャラのひとりでしかなかった。

■『バキ』ドイル

板垣恵介氏による『バキ』(秋田書店)にも体の中に武器を仕込んでいるキャラがいる。それが死刑囚のドイルで、肉体改造を施して肉体を武器化しているのだ。

彼の肘や膝には鋭利な刃物が隠されているので、肘打ちなどを食らっただけでも致命傷になってしまう。キックボクサーのロビンソンに路上で喧嘩を売ったときには、喉を切り裂いてあっさりと勝利していた。

ドイルは体内に武器を仕込んでいるが、服の上にも武器の装飾をしている。襟には掴まれてもいいようにカミソリが取り付けられ、胸には爆薬がセットされている。そのため、相手は不用意に近づこうものなら、確実に致命傷を負ってしまう……。

鎬昂昇がドイルに戦いを挑んだ際は、ドイルは一方的に殴られたすえに昂昇に向かって爆薬に着火して吹き飛ばしていた。暗器はともかく爆薬までは予測不能だったので、昂昇は重傷を負ってしまう。どんな手を使っても勝てばいい、そんな意思の現れでもあるが、重火器はちょっと違う気が……。

しかし、そんなドイルの武器をことごとく打ち崩したのが、「わたしは一向にかまわんッッ」というセリフでおなじみの烈海王。彼はドイルの卑怯な攻撃のすべてを受け入れたうえで圧倒してみせたのだ。あらゆる武器に対抗できるあたり、中国四千年の歴史は伊達じゃないと思った。

■『NARUTO-ナルト-』君麻呂

最後は岸本斉史氏による『NARUTO-ナルト-』(集英社)に登場する君麻呂だ。君麻呂は大蛇丸の部下のひとりで、かぐや一族でもある。そのため、特別な能力でもある血継限界「屍骨脈」を使ってナルトたちを追い詰めた。

この能力は自らの骨を武器化するというもの……。肉体から骨が飛び出すので、見ているだけでどこか痛々しく、最初に紹介した尸良と同じような戦い方にも思える。しかし、君麻呂の骨は自由自在に形成できるので、かなり便利といえる。

ロック・リーと我愛羅との戦いでは、肋骨、脊柱、指先の骨などを利用して、攻守ともに圧倒していた。骨をいろんな形状に変える戦い方は斬新で、武器が尽きる心配もないのでかなり便利だろう。
それでも骨を取り出すシーンに慣れることはないので、王道の戦いと呼べるものではない……。

体の中に武器を隠しているキャラは、セオリーが通用せず戦い方も独特……。だからこそ、意外性という点で他のキャラに勝っている。そんな武器をどうやって攻略するのかも見どころのひとつだ。

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