「タケの様子がおかしい」アジア杯後の久保建英の“変化”にソシエダ番記者が懸念「日本人の魔法がなければ別のチーム」【現地発】

タケ・クボ(久保建英)の様子がおかしい。タフさが持ち味である彼の身体も、ほとんど休むことなくシーズンを過ごした結果、悲鳴を上げているようだ。

ラ・リーガとチャンピオンズリーグでスタメンを張り続けてきたタケにとって、疲労をさらに蓄積させたのが、カタールで開催されたアジアカップだった。重圧のかかる試合の連続で想像以上に消耗して戻ってきた。数字はウソをつかない。公式戦ここ14試合で1ゴールにとどまり、アシストはゼロだ。

ミケル・オジャルサバルとアンデル・バレネチェアの負傷で、イマノル・アルグアシル監督が考案した「魔法のトリデンテ」を1人で支えなければならなかったフル稼働の代償が、過度の責任と疲労をもたらし、シーズン終盤を迎え、相対的に違いを作るアタッカーとしての存在感が低下している。

ラ・リーガ全体でもレアル・マドリーのジュード・ベリンガムに次ぐ活躍を見せていた序盤に比べれば、貢献度が下がったのは紛れもない事実だ。だが同時にプレーを評価する際に、開幕以来、ほとんどすべての試合に出場していることを考慮に入れるのは公平なことだ。

確かにアルメリア戦の前の3試合は、グラナダ戦を欠場、カディス戦で66分間プレー、アラベス戦では前半終了間際に負傷を訴えて退いた。しかしその前の8試合はセビージャ戦を除き7試合に先発で起用され、そのうち6試合にフル出場。唯一途中で退いたコパ・デル・レイ準決勝マジョルカとのセカンドレグも、延長前半終了間際の104分までプレーした。昨シーズン、8にとどまった先発でフル出場した試合は、すでに14を数える。

前述のアラベス戦の後、コパ・デル・レイの決勝開催を挟んで、設けられたほぼ2週間のブレイクも十分な休養を得るには至らなかった。

試合前日の「タケは小さな怪我をしていて、様子を見てきたが、アルメリア戦には間に合うだろう」という言葉とは裏腹に、ラスト20分間しかプレーさせなかったアルグアシル監督の判断が完全に回復していないコンディションを物語っていた。

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タケの投入に伴い、フォーメーションを中盤がダイヤモンド型の4-4-2へと変更し、そのトップ下に配置したのも、ドリブルする機会を減らし、守備の負担を軽くしようという指揮官の狙いが見て取れた。しかしそれでもやはり準備不足は否めなかった。

出場早々に中に切れ込むカットインから左足でファーサイドに叩き込んだ昨シーズン、同じ対戦相手のアルメリアに見舞った一撃の再現を狙ったが、シュートコースを探している間に味方にパス。その後も見せ場を作れず、タケを含めた交代選手が機能しないレアル・ソシエダは、88分に同点ゴールを許し、そのまま最下位チーム相手にホームで手痛いドロー(2-2)を喫した。

シーズンは5年連続の欧州カップ戦出場を懸けてラストスパートの時期に差し掛かっているが、タケがこのような状況では、暗雲が立ち込める。

日本人の魔法がなければ、ソシエダは別のチームになる。日本が出場権を獲得した場合、タケは今夏、パリ五輪参戦を希望しているようだが、アジアカップの前例を踏まえれば、クラブがゴーサインを出すのは難しそうだ。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸

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