世界遺産のラオス古都、観光後はサウナで整う 赤十字が30年運営、利益は貧困家庭支援に

サウナ室を案内するパニサーさん=2024年3月、ラオス・ルアンプラバン(共同)

 ラオスの古都ルアンプラバンで、赤十字がサウナとマッサージの複合施設を運営している。利益を貧困層の支援に充て、市民の健康増進にも役立てようと、約30年前に設立した。ルアンプラバンの一部が1995年に世界遺産に登録されると観光客の利用が増え、地元住民との貴重な交流の場にもなっている。

 中心部にあるカフェを併設した木造2階建ての建物で、赤十字のマークが付いた看板が目印だ。3月上旬の夕方に訪れると、2階が広いベランダのようになっていて、老若男女が外気浴を楽しんでいた。男性はハーフパンツ、女性はワンピース姿で、外国人客もベンチで肩を並べる。

 サウナ室は男女別で隣り合っており、扉を開けると充満する蒸気で真っ白。目を凝らせば5人ほどが座れるようになっていて、腰を下ろすと体の芯から一気に温まった。中心に設置された木箱から蒸気が絶え間なく吹き出し、強い薬草の香りが特徴的だ。20種類以上をブレンドし、1階のかまどで煮ている。

 室外に戻ると、30度を超える外気が驚くほど涼しく感じる。隣で休んでいたパニサーさん(19)は最近出産したばかり。ラオスでは産後にサウナで体調を整える習慣があるという。「週に3回は来て、常連さんや外国人とおしゃべりしている」。薬草を煮出した飲料用の湯も用意されており、すすりながらゆったりとした時間を過ごす。

 入浴料は2万キップ(約140円)。12万キップでラオスの伝統的なマッサージも受けられる。特にサウナは日本人や韓国人に人気だという。約20年間運営に携わるブントムさん(45)は「ラオスには貧困家庭が多く、生活を助けるために収益を使っている。世界遺産の観光に来た際はぜひ立ち寄ってほしい」と話した。(ルアンプラバン共同=伊藤元輝)

薬草を煮出した湯が入ったカップを持つパニサーさん=2024年3月、ラオス・ルアンプラバン(共同)
サウナ室を出て休む女性客ら=2024年3月、ラオス・ルアンプラバン(共同)
サウナ室を案内するブントムさん=2024年3月、ラオス・ルアンプラバン(共同)
かまどの火加減を調整する男性=2024年3月、ラオス・ルアンプラバン(共同)
赤十字が運営するサウナとマッサージの複合施設の看板=2024年3月、ラオス・ルアンプラバン(共同)
赤十字が運営するサウナとマッサージの複合施設=2024年3月、ラオス・ルアンプラバン(共同)
ラオス・ルアンプラバン、ビエンチャン、タイ

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