【4月21日付編集日記】太陽光

 新型コロナウイルス感染拡大により、不要不急の外出を控えるよう言われたのは4年前の4月。ただ、家にこもりがちになっても適度な運動と太陽の光を浴びるよう専門家は訴えていた

 ▼暗い室内より、さんさんと降り注ぐ太陽の日差しを浴びて、体を動かす方が気持ちがいい。体も太陽を浴びないとビタミンDが不足し、骨が弱くなり、病気のリスクが高まるという

 ▼2016年夏、日中青年交流協会理事長の鈴木英司さんが、中国で突然拘束された。身に覚えのないスパイ容疑で、古いホテルのような部屋に連れて行かれた。窓は黒いカーテンで閉ざされたまま、24時間監視された

 ▼拘束から1カ月ほどたったある日、「太陽が見たい」と訴えると「15分だけなら」と許され、窓から1メートル離れた場所に椅子が置かれた。太陽が視界に入った時、「『これが太陽かあ』 涙が出てきた」。拘束は6年余り続いた(「中国拘束2279日」毎日新聞出版)

 ▼製薬会社の日本人社員が中国で拘束されてから1年が過ぎた。スパイ容疑との報道だが、詳細は不明という。隣国での経済活動は困難が伴うのが常だが、理不尽な拘束は決して許されない。太陽の光を浴びているだろうか。心配が募る。

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