シジミの砂抜き 失敗する人がやりがちな5つのこと 正しい方法を栄養士が解説

旨味たっぷりのシジミ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

4月23日は「シジミの日」。シジミは縄文時代の貝塚から発見されるなど、古くから日本人の食を支えてきた旨味たっぷりの貝類です。汁物や炊き込みごはんの具材など、シジミを調理する際は砂抜きが必要になりますが、うまくいかずに食べたとき「ジャリッ」と砂が残っていて、残念な思いをすることがあります。記念日にちなみ、上手に砂抜きするコツを栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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砂抜きがうまくいかない5つの原因

シジミには、たんぱく質やビタミン、鉄やカルシウムなどのミネラル、肝機能をサポートするアミノ酸の一種オルニチンやタウリンなど、栄養成分がたっぷり含まれています。旨味成分コハク酸も多くあるので、おいしく食べたい食材ですが、下処理の砂抜きに苦手意識がある人もいるかもしれません。

シジミの砂抜きがうまくいかない原因は、次の5つが考えられます。過去に失敗した経験がある人は、ついやってしまっていないか確認してみましょう。

○その1 真水か、塩分が濃い塩水を使っている
砂抜きには、真水ではなく食塩水を使います。食塩水といっても塩分濃度が濃すぎるのはNGです。目安としては、水600ミリリットルに対して塩2グラム(小さじ約1/3)の0.3%。シジミが生息しているのは汽水域という海水と淡水が混ざったところ。この環境に近い塩分濃度にします。

○その2 水の量が多い
シジミがすべて浸るほどたっぷりの量の食塩水で砂抜きをすると、うまくいきません。また、シジミがぎっしりと並んだ状態だと水中の酸素濃度が薄くなり、呼吸ができなくなってしまいます。ほんのちょっとシジミが水面から出るくらい、ひたひたの量で行いましょう。

○その3 シジミ同士が重なっている
シジミ同士をぎゅうぎゅうと重ねた状態で砂抜きすると、上のシジミが吐き出した砂を下のシジミが吸い込んでしまうため、砂が残ってしまいます。重ならないように並べましょう。また、吐き出した砂を再度吸い込むのを防ぐために、ザルの上にシジミを置くのもポイントです。

○その4 砂抜きする場所が明るい
シジミは夜行性といわれています。明るすぎる場所では砂抜きがうまくいきません。暗いほうが活発になるので、砂の吐き出しがスムーズです。明るい場所で砂抜きをする場合は、上にアルミホイルをかぶせると良いでしょう。吐き出した砂で周辺が汚れることも防げます。

○その5 温度が低すぎる
冷蔵庫で冷やしたり、氷水を使ったりして、温度が低すぎる環境で砂抜きをするとシジミの活動が鈍くなるので、十分な砂抜きができません。夏場を除いて常温で行うようにしてください。

シジミは環境に敏感。シジミが好む環境を整えていきましょう。

失敗しない! シジミの正しい砂抜き方法

旨味たっぷりのシジミをおいしく食べるために、シジミの砂抜き方法を紹介します。

【用意するもの】
ザルが入るボウル
ボウルに収まるサイズのザル
食塩水(塩分濃度は0.3%)
アルミホイル

【手順】
1. ザルの上にシジミが重ならないように並べる
2. ボウルに塩と水を加え、塩分濃度0.3%の食塩水を作る
3. 1のザルを2のボウルに重ねて置く。食塩水はひたひたの量になるように調整
4. 上からアルミホイルでフタをして暗くする
5. 常温で4時間ほどおく

砂抜きが終わったあと、水からあげたシジミをさらに3時間ほど寝かせておくと、より旨味がアップするといわれています。

時短として、食塩水を50度のぬるま湯に変えて5分ほど浸す方法も。湯の熱さでシジミがショックを受け、素早く汚れや砂を吐き出すと考えられています。この方法は、どうしても時間がない場合は良いですが、旨味も抜けやすいです。シジミのおいしさを味わいたい場合は、丁寧に正しく砂抜きする方法をおすすめします。

和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。

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