「福島からトップ選手を」 元Jリーガー萬代宏樹さん(福島県二本松市育ち) 5月にサッカー塾開講

シュートを決めた子どもを褒める萬代さん。福島市でサッカースクールを設立する宮城県名取市

 サッカーJ2仙台やJ1磐田などプロで18年間プレーした福島県二本松市育ちの萬代宏樹さん(38)=福島東高出身=は5月に福島市内などで自身の名を冠したサッカースクールを開講する。サッカー選手としての基礎を築いた故郷に恩返しをしたいという思いでジュニア世代の指導者としての一歩を踏み出す。「福島から世界を目指す選手を育てたい」と夢を描く。

 萬代さんは福島東高2年時にエースストライカーとして2003(平成15)年の第81回全国高校サッカー選手権で県勢19年ぶりの8強に導いた。翌年仙台に入団し、世代別の日本代表にも選ばれた。磐田や山形など計8クラブを渡り歩き、2021(令和3)年にJFLラインメール青森FCで引退した。通算(カップ戦含む)で433試合に出場し、72得点を挙げた。

 18年にわたるキャリアで唯一の心残りがあった。それは地元・福島のチームでプレーする機会がなく、最も熱心に応援してくれた故郷のファンに感謝を示せなかったことだ。故郷のためにできることを考えた時、高校選手権でベスト8入りした時の地元の盛り上がりを思い出した。「福島からトップを目指す選手を育てられれば、地元を活気づけられる」。一念発起し、引退後2年間勤めていた会社を退職。居住する仙台市周辺で小中学生のチームのコーチをしながら自身のスクールを立ち上げる準備を始めた。

 スクールでは、萬代さんが山形時代に指導を受けた大塚慶輔氏(サッカー女子日本代表フィジカルコーチ)が監修するメニューを導入し、効率的な体の動かし方や走り方などを身につけてもらう。その上で、これまでのプロ生活で培ってきた技術を伝授する。「自分は福島で力を付けてプロになれた。地元の子どもたちが成長を実感できるスクールにしたい」と言葉に力を込めた。

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