家づくりにありがちな土地・建物の「予算オーバー」を回避しつつ“ちょっといい家具”も買うための「明快な計算式」とは【一級建築士YouTuberが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

家づくりでは、「思っていた以上にお金がかかり、予算オーバーになってしまった」「家具は適当なものでそろえよう」といったことがありがちです。本記事では、『後悔しない家づくりのすべて』(サンクチュアリ出版)の著者げげ(⾦⾕尚⼤)氏より、ぶれない予算をたてるために必要な計算式を詳しく解説します。

「予算オーバー」撲滅のためのざっくり計算式

家づくりのための費用は、大きく「土地」と「建物」にわかれます。土地に関しては、土地の代金以外にも、仲介手数料や移転登記費用、印紙代、固定資産税の精算などの費用が発生します。

土地自体は非課税ですが、諸経費には税がかかってきます。目安としては、土地代の8〜10%の諸経費が発生すると考えておくといいでしょう。

建物は、本体価格に加え、建物付帯工事費用、諸費用、さらに消費税も数百万円の額になります。

大まかな目安として、本体価格の1.5倍に消費税を足した金額を建物の総予算と想定するといいと思います。

たとえば、1,500万円の土地に、2,000万円の家を建てるなら、土地代に経費が乗って1,620万円。建物は経費込みで本体価格の1.5倍で3,000万円+消費税。トータル4,920万円まで膨れていきます。

なお、実際に現金がいるタイミングとしては、売買契約の段階で手付金と仲介手数料の半分を支払うことが一般的です。この時点ではローンが下りておらず、支払いは自己資金で賄うか、金融機関のつなぎ融資や分割融資を利用することになります。

[図表1]総予算のおおまかな計算式

家具の予算をとっておく

家づくりの検討に入ると、あとまわしになりがちなのが「家具」です。予算はとにかく家や土地にまわし、家具を検討する頃にはほぼ底をついていて「安いものでいいか」と妥協する……。そんなパターンが多いようです。

個人的には、家具は生活の質を上げてくれる大切な「家の一部」であると考えており、できるだけ質の高いものを揃えるのがおすすめです。

具体的な予算としては、坪あたり5〜7万円とっておくと、きっと質の高い家具が買えると思います。

上質な家具というのは、使い心地がよくて美しいだけではなく、末永く使うことを考えてメンテナンスがしやすくなっています。

資産価値も高く、たとえばデンマークのカールハンセンアンドサン社が製造する椅子、通称「Yチェア」は、新品で9万円前後ですが、中古になっても7〜9万円の値段で売買されています。

安い家具を使い捨てるのは、地球環境にもマイナスです。あきのこないデザインの名作家具を揃え、日々慈しみながら暮らしていくのはどうでしょう。

[図表2]いい家具の見極め方

げげ(⾦⾕尚⼤)

⼀級建築⼠事務所げげ代表

一級建築士YouTuber

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