色彩豊か、風景表現 波山の五男 板谷梅樹モザイク展 茨城・筑西

現存する中で最大の板谷梅樹作品「三井用水取入所風景」=筑西市甲

茨城県筑西市出身の陶芸家、板谷波山の五男でモザイク作家、板谷梅樹(1907~63年)の作品を集めた特別展「昭和モダーン、モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界」が20日、筑西市甲の板谷波山記念館で開幕した。タイルなどを組み合わせ、色彩豊かに風景や動植物を表現した壁画や飾皿など74点を紹介している。6月23日まで。

見どころは、高さ約3.5メートルと現存する梅樹作品の中で最大の壁画「三井用水取入所風景」。昭和20年代に横浜市からの注文で制作され、同市水道局に納められた作品で、富士山の麓から水が流れる風景が、木々の緑や花の桃色とともに鮮やかに表現されている。

梅樹は幼少期に波山が砕いた陶片で遊び、モザイク作品制作に興味を持つようになった。26歳で陶片を使い、旧日本劇場のモザイク壁画を制作。その後はタイルを中心に使用するようになった。

同日、筑西市丙のしもだて地域交流センター「アルテリオ」で学芸員や梅樹の親族らが講演し、作品の色使いなどについて語り合った。特別展を担当するしもだて美術館学芸員の橋本空樹さんは「微妙に違う色をグラデーションのように組み合わせたり、差し色を入れたりと、色彩感覚が豊か」と話した。

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