木村拓哉も戦々恐々か 4月期ドラマ、『アンチヒーロー』以外は“惨敗スタート” ドラマ枠乱立への不満も

木村拓哉、長谷川博己(C)ピンズバNEWS

4月も半ばを過ぎ、4月クールの新ドラマが出揃いつつある。

4月24日に山下智久(39)主演の『ブルーモーメント』(フジテレビ系/水曜夜10時~)、25日に木村拓哉(51)主演の『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系/木曜夜9時~)、27日にSixTONES・森本慎太郎(26)主演の『街並み照らすヤツら』(日本テレビ系/土曜夜10時~)が控えているが、それを除いた4月期ドラマには、ある傾向が見られるという。

ドラマ制作会社関係者は話す。

「この4月スタートの連続ドラマは現在、テレビ各局が最重要視している13~49歳のコア視聴率が全体的にかなり不調なんです。X(旧ツイッター)でトレンド入りしたり、TVerの見逃し配信が盛り上がったりと話題作は多いのですが、現段階では、長谷川博己さん(47)主演の『日曜劇場』枠の『アンチヒーロー』(TBS系/夜9時~)以外、リアルタイムの数字は“惨敗スタート”と言えそうな状態なんですよね……」

日曜劇場『アンチヒーロー』は、長谷川演じる弁護士が限りなくクロに近い被告人を無罪にする姿を描く逆転パラドックスエンターテインメント。同枠のヒット作『VIVANT』(23年7月期)と同じく、放送開始まで、ほとんどドラマの内容を明かさなかった。

「注目度の高さもあり、第1話のコア視聴率は同時間帯トップの4.5%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)という高いものでした。

内容については、主人公の発言や何度も背景に映り込んでいるデモの描写などから、“冤罪”が話に大きく絡んでいきそう、という声が多いですね。主演の長谷川さんを筆頭に、出演者が演技派揃いであるほか、視聴者目線で共感しやすい常識人ポジションの若手弁護士・赤峰柊斗(北村匠海/26)の存在も、ドラマを見やすくしている感じがあります」(前同)

『アンチヒーロー』が好評な一方で、前出の制作会社関係者はこう続ける。

「4月2週放送のドラマは間宮祥太朗さん(30)主演の『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)を除くとほとんど初回だったのですが、長谷川さんの『アンチヒーロー』以外は全ドラマ、コア視聴率が3%未満でした」

■配信への流入を狙っているドラマもある

以下、4月2週(8~14日)放送の主な4月期ドラマの数字になる。

【4月8日(月)】

『366日』(フジテレビ系/夜9時~)

主演:広瀬アリス(29) コア視聴率…2.7%

「“10数年ぶりに再会した両片思いの同級生が交通事故で重体になる”という展開が直前の1月クールに放送されていた『君が心をくれたから』と似ていたこと、2作連続で気軽には見られないシリアスな作品であることを敬遠する視聴者が多い印象を受けます。

他方で、制作陣のこだわりを感じさせる映像の美しさや、主人公カップル以外の同級生たちも多角的に描く群像劇のような雰囲気を評価する声もありますね」(制作会社関係者=以下同)

【4月9日(火)】

『Destiny』(テレビ朝日系/夜9時~)

主演:石原さとみ(37) コア視聴率…2.1%

「謎だらけのサスペンスドラマとして多くの伏線が敷かれていて、考察も飛び交いXは盛り上がってます。一方で第1話では“食べたはずのクリームソーダのさくらんぼが次のカットで復活している”という制作陣のミスとも思える不自然な場面にツッコミが相次ぎ、詰めの甘さを指摘する声もあります。

本編がNetflixに配信されているほか、“未公開シーンとメイキングを追加したSPエディション”をテレ朝の有料配信サービス『TELASA』で独占配信しているため、そちらへの流入を狙っている節も感じられます」

『くるり~誰が私と恋をした?~』(TBS系/火曜夜10時~)

主演:生見愛瑠(22) コア視聴率…2.5%

「記憶喪失の主人公(生見)が、瀬戸康史さん(35)、神尾楓珠さん(25)、宮世琉弥さん(20)演じる3人のイケメンにアプローチされるラブコメ作品と見せかけて、全員が何か大きな秘密を隠している、公式が“ラブコメミステリー”と評している作品です。

恋愛作品というよりヒューマンドラマとして楽しむ視聴者も多いですが、イケメン陣のクセが強くて《男がヤベー奴しかいない》という声も出ています」

【4月11日(木)】

『Re:リベンジ―欲望の果てに―』(フジテレビ系/夜10時~)

主演:赤楚衛二(30) コア視聴率…2.4%

「赤楚さんに加えて、ライバル役に錦戸亮さん(39)が登場することで注目を集めていたドラマです。小道具を使った演出が凝っていたり、余貴美子さん(67)演じる分かりやすい悪役がいる、大病院を舞台にした権力闘争もの。

“韓国ドラマっぽい”と好意的な声は多いですが、主人公の父親との確執と雪解けの流れなどに“脚本が雑”という声も目立ちます」

【4月12日(金)】

『イップス』(フジテレビ系/夜10時~)

主演:篠原涼子(50)、バカリズム(48) コア視聴率…1.8%

「重圧で実力が出せなくなる“イップス”に悩む小説家(篠原)と刑事(バカリズム)が協力して事件を解決する、視聴者には最初から犯人が分かっている“倒叙ミステリー”です。殺人事件が描かれますがコミカルな掛け合いが多く、気軽に楽しく見られるドラマです。

その反面、“ノリが軽すぎて盛り上がらなかった”という声もありますね。初回のコア視聴率が1%台という結果になってしまいましたが、これは裏番組を考えると仕方ないところもあります」

■枠の多さからリアタイ視聴を諦めている視聴者も

4月12日、篠原主演の『イップス』の裏では、『金曜ロードショー』(日本テレビ系)では大人気アニメ『名探偵コナン』の劇場版『紺青の拳(フィスト)』(2019)が放送された。コア視聴率は6.2%という驚異的な数字で、同時間帯トップだった。

「新番組の初回放送時間に特番や人気映画をぶつける“初回潰し”ですよね。『金曜ロードショー』の裏で放送されているフジテレビとTBSの連続ドラマは、必ずと言っていいほどこれに巻き込まれますね」

【4月13日(土)】

『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系/夜10時~)

主演:今田美桜(27) コア視聴率…2.0%

「池井戸潤氏による小説が原作で、同局で2014、15年に杏さん(38)主演でも実写化されていた、正義感が強く理不尽を“黙ってない”銀行員・花咲舞を主人公とした勧善懲悪のシナリオは令和版でも健在。今田さんの演技も良いのですが、どうしても杏さんと比べてしまうファンも多いですね」

なお、本作の裏では吉沢亮(30)主演の『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系/22年10月期)の新作SPが放送され、コア2.6%だった。これに視聴者を取られてしまったところもあるだろう。

【4月14日(日)】

『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系/夜10時30分~)

主演:間宮祥太朗 コア視聴率…2.2%

「原作・メーブ氏と作画・恵広史氏による同名漫画(講談社)のドラマ化作品であり、4月26日以降に、Amazonプライムビデオで150以上の国と地域での配信も予定している大型プロジェクト作品です。CGに気合いが入っている一方で、原作とキャラの年齢など大幅に変更されていることに難色を示す原作ファンも多いですね」

「広瀬さんの月9『366日』、めるるさんの『くる恋』あたりは及第点と言える数字かもしれませんが、それでも全体的に非常に低調ですよね。ことごとく、同時間帯に放送されているバラエティ番組に負けてしまっています」

4月期の各ドラマが低調スタートとなったなか、『花咲舞』が第1弾となった『土ドラ9』枠のように、近年、テレビドラマの放送枠が急増。乱立状態のようになっていることに不満を感じている視聴者も多く、

《各局ドラマ枠多すぎない?と。キー局のドラマ枠はプライム1深夜1で計2つに絞って、制作費も集中させればギャラも上がるしスタッフもキャスト被りも少なくなるし今よりマシなドラマ作れるんじゃ?って思ってます》
《春ドラマもアニメも気になるやつ多すぎて全然消費できてないんだけど、ちみちみ消費がんばってる》
《わざわざリアタイで見るの面倒やしTverも一週間て制限あるからドラマ見る機会が自然と減るんよな。。》

といった声もXには寄せられている。

「リアルタイムで追うのに疲れてしまい、“TVerで見ればいいや”というドラマ好きも多いですよね。そのため、話題になってもリアルタイムのコア視聴率は伸びないと。分かりやすい例では、石原さん主演の『Destiny』の初回はコア視聴率が2.1%でしたが、TVerの初回見逃し配信再生回数は16日に300万回を突破。これはテレ朝GPプライム帯史上最速です。

このように、ドラマファンは確実にいるものの、リアルタイムの数字は全く伸びない状況になってきている。木村拓哉さん主演の『Believe』は先日、キャスト登壇イベントが開催され、天海祐希さん(56)や竹内涼真さん(30)、北大路欣也さん(81)など多くのビッグネームの出演が明らかになりましたが、だからといって高視聴率が確実に取れるということはないでしょう。

同作品はテレビ朝日開局65周年記念作品で、木村さんも“絶対にコケられない”とは思ってはいるでしょうが、ここにきての急速なリアタイ離れの流れに抗うのは、なかなか難しそうですよね……」

視聴率的には、『アンチヒーロー』以外は“成功”と言える数字が出ていない4月期ドラマ。ここからより多くの視聴者の心を捉えて、“リアルタイムで見たい”と思わせる作品は出てくるだろうか――。

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