見上げれば子育ての春 兵庫県立明石公園、アオサギやカワウが営巣

巣から顔を出すアオサギのひなたち。親鳥(右)が寄り添っている=明石市明石公園

 桜が見頃を迎えた4月上旬の兵庫県立明石公園(同県明石市明石公園)。ピンク色に染まった剛ノ池のほとりを歩いていると、頭上に大きな鳴き声が響き渡った。「グワッグワァー」。木立の間から見上げると、枝や幹にいくつもの丸い塊が載っかっている。これは一体?(谷川直生)

 周囲を飛び交う鳥の姿を見て、声の主はすぐに分かった。アオサギだ。

 県立人と自然の博物館(同県三田市)や「原色日本野鳥生態図鑑」(保育社刊)によると、日本で繁殖するサギの仲間では最も大きく、全長約90センチ、翼を広げると160センチにもなる。県内では1年を通して見られ、4~9月の繁殖期には樹上で営巣する。

 細い枝や枯れ葉でできた丸い塊の正体は巣。20個以上はある。アオサギは「コロニー」と呼ばれる集団繁殖地を形成し、一夫一妻で繁殖する。ひながかえると、つがいが交代で温める。

 望遠レンズでのぞいてみると、顔を出すひなの姿も確認できた。成鳥と比べて頭部や羽の色がくすんでおり、毛もふわふわしているように見える。アオサギに混じって営巣するカワウの姿もあった。

 日本野鳥の会ひょうごの長尾高明さん(67)=明石市=によると、アオサギやカワウの営巣は明石公園でも毎年この時期から見られ、「巣作りや子育て、木にとまって休憩する様子などを観察できる」という。

 ある巣では、3羽のひなが並ぶ愛らしい姿も。その隣では親鳥が目をつむり、つかの間の休憩を取っているようだ。要因は不明だが、今期は例年よりひなの成長が早い。じきに巣立ちの時を迎える。

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