発覚当日に「僕が盗んだ。もう終わりだ」 水原容疑者破滅の1か月、露見した嘘と大谷翔平への裏切り

水原一平容疑者【写真:Getty Images】

水原容疑者は3月20日の開幕戦直後にドジャースから解雇

米大リーグのドジャースで、大谷翔平投手の専属通訳を務めていた水原一平容疑者が巨額の違法賭博に関与したとして解雇されたのが3月20日。韓国・ソウルで行われた開幕戦の試合後だった。それから1か月が経つ。銀行詐欺容疑で連邦検察に訴追され、大谷の口座から盗用した金額は少なくとも1600万ドル(約24億7200万円)に及ぶなどと、驚きの事実が次々に明らかになっている。これまでの経緯を訴状などをもとにまとめる。

大谷と、いつも寄り添っていた水原容疑者との関係が一変したのは、ソウルで行われた開幕戦の直後だった。水原氏は選手、スタッフの集まったロッカールームで、自身がギャンブル依存症であることを告白し、謝罪した。実は試合前に米スポーツ専門局「ESPN」の取材を受けており、そこでは借金の肩代わりを大谷に依頼したと説明したと報じられているものの、後に水原容疑者の側から撤回している。

水原容疑者の胴元への借金は総額450万ドル(約7億円)を超えていると報じられた。チームは沈黙を守って米国に戻り、連邦当局の捜査も進んでいることが明らかになった。MLB機構も調査に乗り出すと表明するなど、球界の枠を越える事件となった。

25日(日本時間26日)には、大谷側が沈黙を破った。声明を発表し、自身が賭博に関わったことはなく、胴元への送金を依頼した事実もないと表明。さらに「結論から言うと、彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつ皆に嘘をついていた」と、強い言葉で水原容疑者の行動を表現した。ソウルでの開幕戦を終えた夜に、ホテルで水原容疑者と話をして口座に勝手にアクセスされていたことや、巨額の借金を抱えていることを知ったという。

騒動が大きく動いたのは4月11日(同12日)。水原氏は銀行詐欺罪で連邦検察から訴追され、容疑者となった。訴状が公開され、いくつもの驚きの事実が明らかになった。2024年1月までの2年以上の間に1日平均25回、計1万9000回賭けており、損失は4067万8436ドル(約62億8766万円)に及んだ。大谷の口座からの盗用は分かっているだけで1600万ドル(約24億7200万円)に及ぶとされた。

3月に初めてこの件が報道された際、水原容疑者は胴元に、報道を見たか確認するメッセージを送信。「厳密に言うと、僕は彼(大谷)から盗んだんだ。もう、すべて終わりだ」と観念した内容だった。さらに、昨冬に胴元へ賭けの限度額を上げてほしいと依頼した際には「母に誓ってこれが最後だから」と懇願する様子を見せていた。

また大谷の銀行口座からの送金の際に、銀行職員に対して大谷の名前を名乗り騙したことや、代理人のネズ・バレロ氏や会計士から口座を確認したいとの申し出にも「大谷が拒否している」として嘘をつき切り抜けていた。

翌12日(同13日)には米ロサンゼルスの連邦地裁に出頭し、足枷をつけられた姿で法廷に入った。2万5000ドル(約386万円)を納付して保釈され、5月9日(同10日)、罪状認否に臨む見通しだ。当局と司法取引を行う方向で交渉が進んでいると、米国の複数メディアは報じている。

THE ANSWER編集部

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