「王座を勝ち獲れると信じている」“第3の男”ビールがサンズの初優勝に自信「僕たちはすごくハングリーなんだ」<DUNKSHOOT>

今季のフェニックス・サンズは、ウエスタン・カンファレンス6位の49勝33敗(勝率59.8%)でレギュラーシーズンを終え、第6シードでプレーオフ出場を決めた。チームは4年連続、通算34度目となるプレーオフで、フランチャイズ史上初のリーグ制覇を目指す。

現在のチームにはケビン・デュラント、デビン・ブッカーというリーグを代表するスコアラーがいる。プレーオフのキャリア平均得点で前者はNBA歴代4位の29.4点、後者が同7位の28.0点と大舞台でも持ち味を存分に発揮している。

2人の周囲をブラッドリー・ビール、グレイソン・アレン、エリック・ゴードン、ユスフ・ヌルキッチ、ロイス・オニールらが支え、今季の平均得点(116.2)とオフェンシブ・レーティングはともにリーグ10位(116.8)にランク。この攻撃力が彼らの最大の強みとなる。

なかでもプレーオフに向けて気合十分なのがビールだ。ワシントン・ウィザーズ時代の2021年以来、通算6度目の大舞台へ臨むスコアリングガードは大舞台を前にこう話していた。

「プレーオフのために僕はここへやって来ることを決断したんだ。最もハイレベルな競争、プレーオフ・バスケットボールでプレーするためにね。みんなが同じこと(優勝)のために競い合う。僕はものすごく集中しているよ」
今季はデュラント、ブッカーに次ぐ3番手の役割を任され、平均18.2点は直近8シーズンで最も低かったが、いずれもフィールドゴール成功率51.3%、3ポイント成功率43.0%で自己ベストを更新した。

シーズン序盤こそケガに苦しんだものの、3月2日のヒューストン・ロケッツ戦から最終戦までフル出場とコンディションを維持し、4月は8試合で平均21.0点、6.0リバウンド、4.5アシストにフィールドゴール成功率59.6%、3ポイント成功率69.4%と好成績を残した。

サンズのファーストラウンドの相手はウエスト3位(56勝26敗/勝率68.3%)のミネソタ・ティンバーウルブズ。今季の最優秀守備選手賞の有力候補に挙げられる守護神のルディ・ゴベアを中心に、シーズンではディフェンシブ・レーティングでリーグベストの108.4を記録した堅守を持ち味としている。

レギュラーシーズンはサンズの3戦無敗ながら、相手にはオールスターデュオのアンソニー・エドワーズ、カール・アンソニー・タウンズ、さらにゴベア、堅実な司令塔マイク・コンリー、守備巧者のジェイデン・マクダニエルズ、万能ビッグマンのナズ・リードといった実力者が揃う。
19日に米スポーツ専門局『ESPN』へ公開された専門家のシリーズ予想で、10人中6人がウルブズ勝利にしているが、9人が第6戦以降までもつれると予想しており、両チームの実力差はほとんどないと見ていいだろう。

同日に米メディア『Andscape』へ公開された記事で、30歳のビールはこう口にしていた。

「サンズならチャンピオンシップを勝ち獲れると僕は信じている。僕らにはそのために必要なすべてのピースが揃っているからね。自分たちのメンタリティや意思は固く、本当にそれを欲しているし、すごくハングリーなんだ。このチームには優勝経験がない選手がたくさんいる。それがフランチャイズ史上初のチャンピオンシップ獲得という歴史的なことを成し遂げる助けになると思う。僕なら間違いなくそれを持ち込めるさ」
なお、本日行なわれたシリーズ初戦でサンズはデュラントが31得点、7リバウンド、ブッカーが18得点、5アシスト、ビールが15得点、6アシスト、ロイス・オニールが14得点をあげたが95-120と完敗。第2戦は4月23日(日本時間24日)に開催される。

昨夏にサンズはオールスターガードのクリス・ポール(現ゴールデンステイト・ウォリアーズ)を放出してまでビールを獲得した。このトレードが正しかったかは、今年のポストシーズンで明らかになるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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