MOM級の出来から一転、失点に絡むミス。湘南DF髙橋直也は“反骨心”を見せられるか「下を向きすぎないで次に向かいたい」

「落ち込む部分も当然ありますけど、落ち込んでいてもなにも始まらない」

プロ入り後、初めてスターティングメンバーに名を連ねた試合で、失点に絡むミス。ここからの立ち直りが、22歳の今後を左右する。

4月20日、湘南ベルマーレはJ1第9節でヴィッセル神戸と対戦し、0-1で敗れた。

この試合で特に印象的だったのは、4-4-2の2ボランチの一角でプロ入り後初先発を果たしたDF髙橋直也だ。特別指定としてクラブの活動に参加した昨季にすでにJデビュー済みで、スタメン入りも果たしているが、今季は2月の始動日からコンディションが上がらず苦労。3月ごろから本調子を取り戻し、ようやくチャンスを掴んだ形だ。

CBでもプレー可能な33番の持ち味は、守備時の鋭い読みと、攻撃時の遊び心あふれるドリブルやパスだ。神戸戦でも、その魅力を存分に発揮。最終ラインの間に落ちてビルドアップに関わり、ボールを前進させたかと思えば、ピッチ中央付近でCBからの楔を受け、小技を効かせて相手を剥がすなど、陣地回復の起点となった。

守備面でも、自慢の危機察知力を活かしたインターセプトやタックルでボールを奪うだけでなく、中盤でのエアバトルをことごとく制し、相手のチャンスの芽を潰した。

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ただし、今節は髙橋にとって苦渋を味わった一戦だったと言える。90+3分、自陣でのビルドアップで縦パスを相手にカットされたところからカウンターを受け、劇的な決勝弾を献上。失点に絡んだ大卒ルーキーは、ネットを揺らされた瞬間にピッチに膝を突き、下を向いた。

MOM級の出来を見せていたところから一転、敗戦につながるミス。並々ならぬ悔しさを味わった神戸戦を、髙橋はこう振り返る。

「神戸相手に戦えた点で手応えも感じていますが、やはり最後のミスや、際の部分で悔いが残る試合になりました。次に失点シーンのような場面があったら、シンプルに対応したい。判断の幅が広がった試合になったとも捉えられるので、次につなげたいです」

いつも、終始笑顔で取材に応じる髙橋。今日もその姿勢を崩さなかったが、声色には、悔しさが混じっているように感じた。

ただし、試合を通してチームを救う回数のほうが多かったのは事実。下を向く必要はまったくないゲームだったと言えるだろう。髙橋も、自分のやるべきことは自覚している様子だった。

「今日のミスがあったからといって、ミスを恐れて自分の良さを出せなくなれば、自分がチームにいる意味も、サッカー選手でいる意味もないです。自分の良さを大事にしながら、今日の反省はしっかりしつつ、下を向きすぎないで次に向かいたいです」

神戸戦でのハイパフォーマンスを考えれば、髙橋が今後も継続して出場機会を得るのは間違いないはずだ。次節以降、ミスからの立ち直りをプレーで証明できるか。このオールラウンダーの“反骨心”に注目したい。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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