「ゲノム解析に理解を」 放影研が長崎で公開講座 被爆者と2世への調査を説明 

被爆2世ゲノム解析調査について説明した放影研の市民公開講座=長崎市興善町、市立図書館

 日米共同で運営する放射線影響研究所(放影研)は20日、被爆者とその子(被爆2世)を対象にしたゲノム(全遺伝情報)解析調査について説明する市民公開講座を長崎市内で開いた。放影研側は「可能な限り広く理解を得た上で研究を進めたい」と述べた。
 放影研によると、解析調査は親の被爆が子どもの健康に及ぼす影響を調べる目的。広島と長崎の被爆2世計580人とその親を対象に、保管された血液を使ってゲノムを解析し、被爆線量が多い家族と少ない家族で、DNAの変化の数を比較する。着手時期は未定。
 放影研分子生物科学部の野田朝男部長は、過去の研究で、親の被爆による、子への健康影響の有無は確認されていないと説明。「2世への遺伝影響の解明は長年の課題」とした。
 研究責任者で、同部分子遺伝学研究室の内村有邦室長は解析装置の急速な発展により、低コストで調査できるようになったと説明。「ゲノム情報は個人情報として厳格に取り扱うことが求められる」とし、解析調査への理解を求めた。
 パネルディスカッションもあり、ゲノム解析に関する外部諮問委員会のメンバーらが参加。長崎で被爆した城臺美彌子委員(84)は「時間がかかるのを待つしかないのか。早く(結果を)知りたい」と訴えた。
 講座には市民ら約100人が参加した。

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