文翔館周辺、歩行空間や滞在環境を検討へ 県、山形市と連携し構想策定

車道に人の滞在空間を設ける社会実験を行う旧県庁半郷線=山形市

 県は本年度、山形市中心部の文翔館周辺の新たなにぎわいや交流創出へ、歩行空間や滞在環境の整備検討に着手する。歩行者優先の空間づくりに取り組む市と連携し、若手職員や住民を交えて協議し、車道に人の滞在空間を設ける社会実験などを行う。2025年度までの2年間で基本構想を策定し、次年度以降の具体的な施策展開につなげる。

 文翔館の近くには山形市役所や、県立図書館が入る遊学館、教育資料館がある。県民会館跡地に整備される新市民会館は28年度に完成する予定で、建て替え中の山形銀行本店ビルは26年春の営業開始を見込む。県はこうした動きと一体的に、歩行者が回遊したくなるまちづくりを進めたい考え。文翔館南側を東西に通る都市計画道路の双月志戸田線、山銀本店前交差点までの旧県庁半郷線、市道2路線を対象に基本構想を策定する。

 県と市の若手職員によるワーキングチームを核に検討を進める。関係機関や住民、大学などの参加を想定するワークショップで整備のアイデアや方向性について意見を交わす。整備イメージを空間的に体験できる仮想現実(VR)画像を作成し、検討に活用する。

 社会実験は今年10月ごろに旧県庁半郷線の南進車線で行う。235メートル区間で車の通行を規制し、テーブルやいす、ベンチを設ける。歩行者の利用状況や周囲の交通量への影響を検証し、実現の可能性を探る。

 昨年度行った県の若手職員研修で提案された企画を基に、事業化の準備を進めてきた。山形市中心部で滞在空間づくりに取り組んできた市と連携し、他の市町村とも同様の整備検討を進めるためのモデル事業と位置付ける。

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