大川清一さん写真展開幕「山々を歩くように見て」 ギャラリートークも

北東北3県の山々を捉えた写真に見入る来場者

 秋田県美郷町在住の写真家・大川清一さん(60)の写真展「北東北 山々の輝き」が20日、秋田市中通の県立美術館1階県民ギャラリーで始まった。秋田、青森、岩手3県の山々が見せる一瞬の美を捉えた作品105点が並び、来場者の目を引いている。秋田魁新報創刊150年記念事業。5月19日まで。

 大川さんは、2019年4月から同名の連載を本紙「にちよう学芸館」でスタート。会場では掲載作品を中心に展示している。

 圧巻は、冬の八甲田山頂上付近から夜明け前に撮影した縦2.4メートル、横4メートルの特大パネル。青くきらめく樹氷群が月明かりを受けて浮かび上がり、自然の力強さを感じさせる。

 このほか、夏の七折の滝(岩手県花巻市)を捉えた涼やかな1枚や、絵画のような美しさを見せる白神山地の紅葉したブナの写真などが並ぶ。

 この日は大川さんによるギャラリートークが開かれ、約40人が聴講。大川さんは、10年間で200回以上登ったという鳥海山での撮影エピソードを紹介。山頂では風速40メートルの強い風が吹くため、カメラの三脚を体で押さえ、低い姿勢でシャッターを切っていると語った。こうした工夫の末に、厳冬期の迫力ある岩氷群を写すことができたという。

 地元美郷町にある真昼岳を捉えた作品にも触れ、「古里にある山の美しさ、自然の大切さを知ってほしい。山々を歩くような気持ちで作品を見てもらえたらうれしい」と呼びかけた。

 大仙市から訪れた田村麻里子さん(29)は「身近にある真昼岳の、これまで知らなかった景色に出合えた。春や夏の緑が鮮やかな写真も多く、美しさに感動した」と話した。

 開場時間は午前10時~午後5時(入場は4時半)。入場料一般800円(10人以上の団体600円)、高校・大学生500円(同400円)、中学生以下無料。写真展に合わせて刊行した写真集(3520円)も会場で販売している。

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