マッチングアプリで出会った外国人と付き合うことになったら、一緒に投資をしないかと誘ってきました。これって信じていいのでしょうか?

海外の異性との出会いがいつの間にか……

近年、マッチングアプリを利用して、出会いを求める方は多くいらっしゃいます。しかし、マッチングアプリでの出会いのなかに、いつの間にか詐欺に発展していくという事例が報告されています。

海外の異性と出会ったとたんに、アプリとは別のチャットサービスの利用を促され、会話を重ねていくうちに情が芽生え……情が芽生えたところで海外のサイトへの投資話を持ち掛けられ、大成功! そして投資を重ねていき、生活に支障をきたすようになったので、出金しようとしたところ出金できず、そればかりか、出会った人との連絡も途絶えてしまう。

このようなことが、実際に起こっています。

もちろん、マッチングアプリでの出会いのすべてが詐欺ではありません。しかし、いつの間にか詐欺事件に巻き込まれてしまわないよう、注意が必要です。そもそも、名乗った名前も住んでいる国もホンモノなのか定かではありませんし、海の向こうの国では確かめようもありません。

マッチングアプリは、「出会い」が目的のはずです。マッチングアプリの利用規約には、外部のサイトや外部のサービスへの誘引を禁止していたり、品物の販売やサービスの利用の勧誘を禁止していたりするところもあります。マッチングアプリの利用にあたっては、まず規約を確認し、規約にのっとった利用をしましょう。

特に、実際に相手方に会うことなく投資をする際、投資資金の送金を仮想通貨(暗号資産)や個人名義の銀行口座を指定された場合、基本的にはお金の流れを把握するのが難しくなることを狙って指定している場合が多いと考えてよいでしょう。そのため、仮想通貨や個人名義の銀行口座を指定してきた場合は、詐欺を疑っておいてもよいでしょう。

国連の関係者なら信頼できる?

SNSなどをとおして、国際連合(国連)に関係する医師や軍人を名乗る人物から、休暇中や退職後で日本への渡航費用の立て替えを求められたケースが、国連に報告されています。また、一般の個人に対し、「国連親善大使に任命する」ということで、登録料を請求する詐欺が発生しています。

国連広報センターによると、「国連の関係者が一般の人に個人的に接触し、登録料の支払いや立て替えを依頼することは一切ない」とのことです。

ロマンスにとどまらない

SNSを利用するという点は同じでも、関係の作り方は恋愛だけにとどまりません。

男性が年配の女性を「ママ」と慕う振りをして付け込む、あるいは「ソマリアの紛争で従軍した」等の架空の身の上話で同情を誘うなどの手口もあります。手口は巧妙かつ複雑ですが、恋愛も含め、「情に訴え、その気にさせてお金を引き出す」というケースが散見されます。

お金が必要になる理由には、「高価な贈り物が積み替え港の税関で差し押さえられた」として、税関に支払うための金銭を要求するというケースがあります。しかし、JETRO(日本貿易振興機構)によれば、「積み替え港で税関から関税を要求することは絶対にあり得ないので、要求には一切応じる必要はない」ということです。

まとめ

スマートフォンの利用によって「手のひらから世界につながる」というのは、大げさな表現ではないと思います。

国内外を問わず、「よき出会い」につながればよいのですが、画面の向こうにいる相手は必ずしも善人ばかりではありません。一度払ってしまったお金を取り返すのは容易ではありません。第三者への送金は慎重に判断しましょう。

出典

国民生活センター 愛のギフトを受け取ってほしい!? それってもしかして「国際ロマンス詐欺」?
国際連合広報センター 詐欺にご注意ください!(2022年9月12日)
日本貿易振興機構JETRO 国際的詐欺事件について(注意喚起)

執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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