マンC vsチェルシー→ノーハンド、FC東京vs町田→ハンド。「体から腕にボールが当たる」似たケースだが、判定を分けた”違い”とは!?

いずれもVARがチェック。チェルシーのほうが玉虫色、ルールの死角に。

[J1 9節] FC東京-町田/2024年4月21日15:03/味の素スタジアム

J1リーグ9節、FC東京対FC町田ゼルビアの一戦、19分に町田のDFドレシェヴィッチがハンドのファウルによりホームチームにPKが与えられ、このキックを小柏剛が決めた。日本時間同日に行われたイングランドFAカップ準決勝、マンチェスター・シティ対チェルシーFC戦では、コール・パルマーの直接FKがジャック・グリーリッシュの腕に当たったものの、こちらはノーハンドに。いずれも「体から腕にディフレクションでボールが当たる」という似たケースだった。しかも、いずれもVARが介入していた。しかし判定を分けた違いとその理由とは!?

FC東京対町田戦では、バングーナガンデ佳史扶がペナルティエリア内で蹴り出して仕掛けた際、左足を出して止めに出たドレシェヴィッチの体に当たったボールが腕に当たった。主審はドレシェヴィッチのハンドのファウルでPKを宣告。ドレシェヴィッチは「体から腕に当たった」とディフレクションでありノーファウルではないかと主張していることが分かる。ただ主審はVARとの交信も経て、結果、ジャッジどおりFC東京にPKが与えられた。

これはドレシェヴィッチがボールに対し意図のあるプレーをしていて、そこから広げた腕にボールが当たったという解釈だったからだ。

対して、マンチェスター・C対チェルシー戦では、FKの壁となっていたシティのグリーリッシュがジャンプした際、パルマーの蹴ったボールが腹部から広げた左腕に当たっている。こちらもディフレクションだった。

しかし、意図せず体から腕にボールが当たった場合はハンドにならないと、現在のルールでは定義されているのだ。

そのため、VARもチェックしていたものの、”明らかなハンドのファウル”と指摘できなかった。

とはいえ主審はゴールキックを指示している。つまりグリーリッシュにボールが触れたことを、主審は確認できていなかった。が、ゴールに直接関係しない、ゴールキックの判定に関してはVARの介入事項ではない。

ハンドは主審の主観でも判定が変わってくるルールである。グリーリッシュがジャンプし、腕を広げたのを”意図的”と見ることもできたかもしれない。もしも主審(あるいは副審)が、このシーンを目視で確認できていて、シティのハンドの反則だと、チェルシーにPKを与えていたら……。VARも、その判定を支持していた可能性はあった。

そういった意味では、チェルシーのサポーターにとっては納得のいかない玉虫色のシチュエーションだったと言える。VARがそこまで介入できないという、ルールの死角にハマってしまったのだ。

ルール上は両者とも「体から腕にディフレクションでボールが当たる」似たケースではあった。そのような意図してプレーしていたか、していなかったかという”違い”があった(逆にドレシェヴィッチのケースも、主審が意図的ではないと判断していれば、それが尊重されていた可能性もある)。VARも介入していたなか、判定としては、いずれも間違いではなかったということにはなる。

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おそらく、またハンドに関しては、こうしたケースを踏まえ、FIFA管轄でサッカーのルールをまとめる国際サッカー評議会(IFAB)による定義づけが改正されることになるだろう。

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