放火、発砲の後に…蕨郵便局立てこもり、殺人未遂罪などで87歳男を起訴 さいたま地検、約3カ月の鑑定留置経て

蕨の立てこもり、87歳男を起訴

 昨年10月31日、埼玉県蕨市の蕨郵便局に拳銃を持った男が女性局員2人を人質に約8時間立てこもるなどして、逮捕された事件で、さいたま地検は19日、現住建造物等放火や殺人未遂、銃刀法違反、監禁致傷などの罪で、住所不定、無職の男(87)をさいたま地裁に起訴した。裁判員裁判で審理される。

 起訴状などによると、男は昨年10月31日、戸田市の木造2階建てアパート(床面積計約207平方メートル)の自室に火を放ち、アパート(同計約160平方メートル)を焼損。その後、同市の戸田中央総合病院の1階診察室に路上から拳銃で弾丸1発を発射し、診察中の男性医師=当時(49)=と男性患者=同(62)=の頭部に弾丸の破片などを埋没させ、いずれも約3週間のけがを負わせた。

 さらに同日、110番を受け郵便局に駆け付けた蕨署地域課員や路上で警戒に当たっていた同署刑事課員らにいずれも弾丸1発を発射。局内で発砲現場に居合わせた当時25歳と39歳の女性局員2人に拳銃を示すなどして不法に監禁し、ともに加療約6カ月を要する心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたなどとされる。男は立てこもりから約8時間後の午後10時20分に突入した県警捜査1課特殊班などに確保された。

 県警はこれまでに男を4度逮捕。同地検は鈴木被告の刑事責任能力の有無や程度を見極めるため、今年1月9日から4月12日まで鑑定留置を実施していた。

 同地検は男の認否を明らかにしていないが、これまでの県警の取り調べに2件の殺人未遂容疑についていずれも殺意を否定していた一方で、病院の診察室や郵便局内外への発砲、自宅アパートに火を付けたなどの行為自体はいずれも認めていた。

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