ロシア、移民に逆風強まる テロ1カ月、労働力依存も

炎が上がるモスクワ郊外のコンサートホール周辺に集まる緊急車両=3月(ロイター=共同)

 140人以上が死亡したロシア・モスクワ郊外のコンサートホールでの銃乱射テロから22日で1カ月。過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出し、実行犯とされた中央アジア・タジキスタン人4人らが起訴された。外国人への警戒感が強まり、治安当局は不法移民の取り締まりを強化。ただロシアはウクライナ侵攻の長期化で労働力が不足しており、移民が欠かせないという事情も抱えている。

 「テロ後は検査ばかりでうんざりだ」。モスクワの空港の出国ゲートで3月末、妻と子2人と共に書類不備を理由に足止めされたタジキスタン人男性が嘆いた。出稼ぎの建設労働者として10年勤め、帰国しようとしていた。

 不法移民を取り締まるため、当局は移民労働者を抱える企業に立ち入り多数を摘発。モスクワの大学では移民の居住や市民権取得に必要なロシア語能力証明書の発給を巡る不正で職員が拘束され、学長が解任された。

 ロシア科学アカデミー経済研究所によると、侵攻が始まった2022年以降に労働者不足が深刻化し、23年末時点で480万人の人手が足りていない。

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