１９９２年４月１３日よりテレビ朝日系で放送がスタートした、臼井儀人さん原作のテレビアニメ『クレヨンしんちゃん』。３０年以上の歴史を持つ同作では、たびたび他の人気アニメのパロディネタが登場するのが特徴だ。元ネタを知っていればクスッと笑える遊び心あるこれらのシーンは、見つけるとラッキーと思うような楽しさがある。
今回は、『クレヨンしんちゃん』に登場した、知るとうれしくなる他アニメ作品のパロディを紹介したい。
■『セーラームーン』本家声優を起用した豪華すぎるコラボ
『クレヨンしんちゃん』のアニメがスタートした１９９２年は、『美少女戦士セーラームーン』のアニメが始まった年でもある。
その約２年後となる１９９４年８月に放送された「アクション仮面に再会だゾ」では、「セーラームーン」ならぬ「美少女軍団セーラームフーンＨ」という『セーラームーン』のパロディキャラが登場する。
「セーラームフーン」「セーラーイヤーン」「セーラーバカーン」というセーラー服の３人のキャラがポーズを決め、決めセリフまで「好きになったらお見知りおきを！」と、『セーラームーン』の「月にかわっておしおきよ！」をもじったものとなっている。
驚くべきは、それぞれの声優を「ちびうさ」の荒木香衣さん、「セーラーマーキュリー」の久川綾さん、「セーラージュピター」の篠原恵美さんが務めているということ。とても豪華なパロディだった。
なお、『クレしん』の準レギュラーキャラであるアクション幼稚園の「まつざか梅先生」はセーラーマーズ役の富沢美智恵さん、「上尾ますみ先生」はセーラームーン役の三石琴乃さんがそれぞれ声優を務めている。
「電車ごっこをするゾ」というエピソードでは、まつざか先生が上尾先生に「月にかわっておしおきするわよ！」と言うシーンがあり、その後、上尾先生が「そ、それは私のセリフ…」とツッコミを入れるという、ファンがクスッとなるシーンもあった。
ちなみに、逆に『セーラームーン』の本編に、美しい作画で描かれたしんのすけのような少年が登場したことがある。それは『美少女戦士セーラームーンＳ』の第１５話「友達を求めて！ ちびムーンの活躍」で、この回にはズボンとパンツを脱いでちびうさをドン引きさせる、しんのすけと同じ声をした少年が登場。その後、彼がみさえと同じ声の母親に怒られて去っていくという、スタッフの遊び心が感じられるシーンだった。
■「名探偵コシン」に「ヌパン４世」に「嗚咽の八重歯」
続いては、『名探偵コナン』をパロディした「名探偵コシン」だ。これは、テレビスペシャル「トレジャーハンターみさえ 酢乙女家の一族」と「ミッチーの元カレ？ だゾ」という回に登場している。この回でしんのすけがふんする「コシン」は、服や髪型も思いっきり『コナン』をパロディしており、特にコナンそっくりのハイライトが入った丸い瞳が特徴的。
しかも、この回では『クレしん』に登場するみさえの親友・おケイの声を江戸川コナン役の高山みなみさんが演じていることを利用して、しんのすけの頼みで「たった一つの真実見抜く！ 見た目は５歳！ 頭も５歳！ 名探偵コシン！」とおケイの本家ばりのナレーションまで聞けたのだ。
『ルパン三世』をパロディした「ヌパン４世」も、ついニコニコしてしまうかわいらしさがあるパロディ。しんのすけのもみあげはルパンそっくりになっており、しんのすけは漫画では赤のジャケット、アニメでは緑のジャケットを着用していた。
ヌパンの特徴は、怪盗ではなく盗まれたものを取り返すという点。作中では本家『ルパン三世』とは異なり、警部の風間くんと協力して事件解決に挑んだ。
最近では『鬼滅の刃』が「嗚咽の八重歯」という響きがそっくりなタイトルでアニメに登場している。
２０２０年の「借りパク注意だゾ」という回は、上尾先生がまつざか先生に貸したコミックスがフリマサイトで売られてしまうというストーリーで、まつざか先生が売ったコミックスの表紙では禰豆子に見えなくもない八重歯の生えた和服の少女が泣いている。ロゴや背景の市松模様もどこか『鬼滅』っぽい。ちなみにこの漫画は５８円という安価で売られてしまっていた。
このほか『ゲゲゲの鬼太郎』をパロディした「お・お・お・のしんのすけ」や、『ポケットモンスター』が元ネタの「パチットモンスター」、『攻殻機動隊』が元ネタの「甲殻類機動隊」なども登場している。
『クレしん』には漫画やアニメ以外にも、総合スーパー「サトーココノカドー」が登場したりと、名前をちょっともじったパロディも多く存在する。次はどんな作品が登場するのか、ワクワクしながら注目したい。
