英サッカー界CEOが勢揃い!超豪華なフットボールビジネスの祭典とは

フットボール・ビジネス・アワーズ(2022)コリン・マレー氏 写真:Getty Images

世界のスポーツの中でもサッカーは単なる競技の枠だけに収まることなく、ビジネスや地域社会にも大きな影響を与える存在として注目されている。

国際連合(UN)もその影響力は強力なものとして一目置くほどで、サッカーの力を活用して持続可能な開発目標を提唱する「Football for the Goals」という施策を2022年7月から開始。サッカーとビジネスのコンビネーションに着目する動きも、近年イギリス(英国)で主流だ。

2012年から開催されている英国の「フットボール・ビジネス・アワーズ」では、サッカー業界の組織、クラブ、個人を対象に、毎年サッカービジネスにまつわる各部門の最高峰が称えられる。

プレゼンターにテレビ司会者のコリン・マレー氏、過去の受賞者にプレミアリーグの初代最高経営責任者(CEO)であり、リバプールの元CEOリック・パリー氏など、年々会場に集まる顔ぶれの豪華さにも注目が集まり、2024年現在では国民的イベントにまで成長したという。

フットボール・ビジネス・アワーズとは、一体どんな内容なのか?紹介していこう。


フットボール・ビジネス・アワーズ(2022)リック・パリー氏(中央)写真:Getty Images

ピッチの外側にあるビジネスに着目

英国の首都ロンドンに事務所を構えるフットボール・ビジネス・アワーズは、2012年に創設されて以来サッカーの裏側に着目してきた。

サポーターの歓声を浴びた選手たちが巨大スタジアムでパフォーマンスを披露する、この一般的にサッカーと聞いてイメージする世界観はとても華やかだ。しかし同団体が見つめる先は、ピッチの外側にあるビジネスの世界である。

「優れたサッカーと優れたビジネスは切っても切れない関係」とし、現代の人々が認知している華やかなサッカーのビジョンになるには、選手たちの献身的なハードワークの日々やチームの組織力、計画性、創造性、地域社会との繋がり、さまざまな事業(ビジネス)との関係性が非常に重要なものとしている。


フットボール・ビジネス・アワーズ(2022)写真:Getty Images

受賞と同時に名誉も得られるほどに

前述の理由から毎年1回開催されている授賞式フットボール・ビジネス・アワーズは、サッカー業界の組織、クラブ、個人を対象に自薦式で応募者を募る。

応募者は、CSR(企業の社会的責任)、マーケティング、スポンサーシップ、テクノロジーなどの分野(分野数は毎年変動)から該当する項目を選び、とっておきの事業を文書で提出。指定の審査委員会によるいくつかの選抜工程を経て、最終的に各部門につき優秀な団体(または個人)が選出、表彰される仕組みだ。

審査委員会は、サッカークラブ、プロサッカー協会、草の根サッカー組織のCEOらで構成され、彼らの専門的な知見によって厳格にジャッジされる。審査の難易度も年々レベルが上がってきていることもあり、現在では受賞と同時に「名誉」も得られるほどだ。

授賞式当日には毎年500名ほどのサッカー業界人がカジュアルなドレスやスーツを着込んで集まり、シャンパン片手に写真撮影なども行われ、会場全体がサッカー界のファッションウィークのような雰囲気に包まれる。

サッカー業界に従事する人々だけならず、サポーターやファンにとっても自分が支持するクラブのどんな事業が称えられるのかを知り、また違った角度でサッカーを楽しめる機会にもなりそうだ。


チェルシー・ウィメン 写真:Getty Images

2024年の18部門と注目ファイナリスト

今年のフットボール・ビジネス・アワーズは、5月24日に東ロンドンに位置するザ・ブルワリー(The Brewery)で開催される。今年は全18部門についてそれぞれ最優秀賞が決まる予定で、現在(4月21日時点)公式ホームページ内には勝ち抜いてきたファイナリスト一覧が公開されている。

2024年フットボール・ビジネス・アワーズの18部門

  • マーケティング・キャンペーン部門(BEST CLUB MARKETING CAMPAIGN)
  • ブランド x サッカー事業部門(BEST BRAND ACTIVATION INVOLVING FOOTBALL)
  • イノベーション部門(INNOVATION AWARD)
  • 年間最優秀代理店部門(AGENCY OF THE YEAR)
  • 企業の社会的責任部門(BEST CORPORATE SOCIAL RESPONSIBILITY SCHEME)
  • ビジネス x サッカー事業部門(BEST BUSINESS SERVING FOOTBALL)
  • 専門ビジネス x サッカー事業部門(BEST PROFESSIONAL SERVICES BUSINESS SERVING FOOTBALL)
  • デジタル・ソーシャルメディア部門(BEST DIGITAL / SOCIAL MEDIA TEAM)
  • スポンサーシップ・年間最優秀パートナーシップ部門(SPONSORSHIP / PARTNERSHIP OF THE YEAR)
  • サッカーデジタル技術部門(FOOTBALL TECHNOLOGY AWARD)
  • 女子サッカービジネス部門(WOMEN’S FOOTBALL BUSINESS AWARD)
  • サステナビリティ部門(SUSTAINABILITY AWARD)
  • クラブのファン関係性部門(BEST FAN ENGAGEMENT BY A CLUB)
  • 平等・多様性&包括性部門 ※プレミアリーグ以外(EQUALITY, DIVERSITY & INCLUSION AWARD – NON-PREMIER LEAGUE)
  • 平等・多様性&包括性部門 ※プレミアリーグ(EQUALITY, DIVERSITY & INCLUSION AWARD – PREMIER LEAGUE)
  • サッカー・コミュニティ部門 ※プレミアリーグ以外(BEST FOOTBALL COMMUNITY SCHEME – NON-PREMIER LEAGUE)
  • サッカー・コミュニティ部門 ※プレミアリーグ(BEST FOOTBALL COMMUNITY SCHEME – PREMIER LEAGUE)
  • 年間最優秀最高経営責任者部門(CEO OF THE YEAR)

今年の上記18部門の中でも、女子サッカービジネス部門については、英国内でも力を入れている項目ということもあり、最優秀者として輝く存在に注目が集まりそうだ。

同部門のファイナリストに名が上がっているのは、女子スーパーリーグ(イングランド1部)のアーセナル・ウィメン、チェルシー・ウィメン、ウェストハム・ユナイテッド・ウィメン、そしてアドラン・プレミア(ウェールズ1部)のレクサムAFC女子の計4クラブ。

クラブ以外の団体では、英メディアのマッチフィット(MatchFit)、英企業のスリー・ユーケー(Three UK)、プロフェッショナル・フットボーラーズ・アソシエーション(The Professional Footballers’ Association)、法律事務所ローレンス・スティーブンス(Lawrence Stephens)が選出されている。

フットボール・ビジネス・アワーズを通じて、現代のサッカー業界には不可欠なピッチの外側のビジネスの存在について考えてみると、またサッカーの面白さや楽しみ方が見つかるかもしれない。

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