全国に誇れる夜間中学に…埼玉初の公立夜間中学校、待望の新校舎が完成 10~60代の49人、夢実現へ学ぶ日々

落成式が行われた川口市立芝西中学校陽春分校新校舎=19日午後、埼玉県川口市芝園町

 埼玉県川口市立芝西中学校陽春分校の新校舎が完成し、落成式が19日、職員、生徒らが参加して行われた。あいさつした生徒代表は「それぞれの夢を実現できるよう、ここで頑張って学び、皆で良い思い出をつくりたい」と新校舎に寄せる思いを話した。

 同校は2019年4月に開校した県内初の公立夜間中学校。さまざまな事情で小中学校を卒業していない人や学び直しを希望する人、在留資格を持つ外国籍の人らが共に学んでいる。授業はこれまで、同市並木の旧市立県陽高校を暫定校舎として行われてきた。

 市学務課によると完成した2階建て新校舎は普通教室が11室。1階には多目的ホールや音楽室、図書館、保健室、2階には理科室、美術技術室などがあり、普通教室は可動式の間仕切りが設けられ、用途や生徒数に応じて大きさを変えることができる。

 この新校舎で学ぶ生徒は19日時点で1年生27人、2年生10人、3年生12人で年代は10代から60代までの計49人。国籍別では日本6人、中国14人、フィリピン8人、ネパール7人、パキスタン4人、ミャンマー3人、アフガニスタン2人ほか、トルコ、ベトナム、ブラジル、モンゴル、コンゴが各1人となっている。

 式典で奥ノ木信夫市長は「生まれた国、風俗、生活習慣が違う皆が、日本の生活や言葉を身に付け、川口が目指す共生社会の中で仲良くやってほしい。誰もが通える、全国に誇れる夜間中学を目指す」とあいさつ。テープカットも行われ、曽山武寿校長は謝辞で「私たちは夢や目標を持ち、自分から陽春分校に通うと決意した生徒を全力で応援する。全ては生徒の夢実現のために。生徒が夢中になって活動する学校を目指す」と話した。

 21年にフィリピンから来日した3年生のマコロール・ジャスティン・デルさん(18)は生徒を代表し「この学校は私にとって特別な場所。これまでにたくさんの先生、友達に出会い、多くのことを学んだ。新しい、きれいな校舎で勉強できることをとてもうれしく思う。私たちはここでそれぞれの夢を実現できるよう、毎日頑張って学び、皆で良い思い出をつくりたい」と力強く述べた。

生徒らが参加して行われた落成式=19日午後、埼玉県川口市芝園町の市立芝西中学校陽春分校多目的ホール

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