鈴木愛は21歳の進撃阻めず 4差敗戦に「あれだけバーディを取られると…」

“ストップ・竹田麗央”を掲げていた鈴木愛だったが…。2連勝を阻むことはできなかった(撮影:鈴木祥)

<フジサンケイレディス 最終日◇21日◇川奈ホテルゴルフコース 富士コース(静岡県)◇6494ヤード・パー71>

敗者は多くを語ってくれた。3打差を追いかけ、4打差をつけられてのV逸。スコアは3つ伸ばしたが、3位に終わった鈴木愛は完敗を認めざるを得なかった。

「終盤にあれだけバーディを取られるときつかった。距離が長いホールでも短い番手のクラブを持たれると苦しい。18番の2打目は私が6番アイアンで、彼女は多分ピッチングウェッジ(実際は9番アイアン)くらいで打っている。そういう差だと思う。自分はバーディが外れ、ショットも散っていた。そういう隙があると厳しい展開でした」

竹田麗央と3度目の最終日最終組で回り、初めて敗れた。前日の第2ラウンド終了後は「若い人の2週連続優勝は阻止したい。同じ人が連続で勝っても面白くないですよね」と逆転Vを誓っていたが、ゴールが近づくほどに竹田の背中は小さくなった。

2位から出た最終日は4バーディ・1ボギーの「68」。2打目を高低差4メートルほどはあるグリーン左下に落とした15番パー4では、絶妙のアプローチでパーをセーブするなど「終盤にボギーをたたかず、60台で回れたのは良かった」と自己評価したが、「結果は70点だけど、内容は40点」。竹田に初Vからの2週連続優勝を許したツアー通算20勝の実力者は唇をかんだ。

来週の「パナソニックオープンレディース」は欠場し、今季国内メジャー初戦の「ワールドレディスサロンパス杯」(5月2日開幕)に備える。「トレーニングはするけど、ゆっくり休みたい。アラームをセットせずに眠れるのが一番うれしい」。一週間のオフで悔しさもリセットする。

「一年間ずっと調子を続かせるのは本当に難しいし、毎年結果を残すのも難しい。どれだけうまい選手でも突然おかしくなるときがある。自分も経験があります」。4季ぶり3度目の女王戴冠を目指すシーズンは、まだ序盤が終わったばかりだ。

女王の座を争う新勢力の台頭。「そういうことじゃないですか」と竹田を初めてライバルと認めたが、21歳の飛ばし屋の力は以前から認識していたはず。「若いもんには負けない」は第一人者のモチベーション。メルセデス・ランキング1位の座も譲った元女王は、5月のメジャー今季初戦から反撃を開始する。(文・臼杵孝志)

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