「引っかかるほうが悪い」と不倫相手に騙されました… 20代女性が絶望した「社内不倫の結末」【後編】

離婚届は偽物だった

「サキさんと別れたあとで、明智さんにサキさんから聞いた話が事実かどうか問い詰めました。明智さんが笑ってはぐらかそうとするので腹が立ち、真剣に尋ねているのだと強く訴えたところ、明智さんは呆れように、“引っかかるほうが悪い”と言ったのです。“よく見れば分かったはずだ”と完全に開き直っていました」

慰謝料を請求すると言われて…

「明智さんに離婚をしたと嘘をつかれていたとはいえ、不倫をしたという事実は消えません。罪悪感に苛まれ、これからどうすべきなのか悩みました。
そんなある日、知らない番号から電話がかかってきたのです。出てみると女性の声で、“明智の妻です”と言われました。夫の不倫を疑い、スマホを覗いて私の存在を知り、連絡先を調べて電話をしたとのこと。実際に関係があったのかどうかを尋ねられ、私はどう応えていいものか考えてしまい、言葉が出ませんでした。そして、精神的な苦痛を受けたとして、“慰謝料を請求します”と言われてしまったのです」

不倫相手の妻との対峙

「まさに、人生が音を立てて崩れていくような感覚でした。ただ、ここで相手の言う通りにしたら、本当に人生が終わってしまうとも思いました。自分を守れるのは自分しかいないと思い、頭を切り替えて、“直接お話ししたい”と伝えたのです。すると向こうが、“分かりました”と受け入れてくれました。
そして後日、あるカフェで待ち合わせすることに。明智さんの妻はアユミさん(仮名)という方で、物静かな印象でしたが、やはりピリッとした緊張感を纏っていました。
正直に明智さんは離婚していると思っていたと伝えたところ、“なんとでも言えます”と返されてしまったので、あの偽物の離婚届の画像を見せました。いざというときに必要かもしれないと思って、サキさんから送ってもらっていたのです」

噓をついた不倫男の末路

「画像を見て、アユミさんの表情が変わりました。“そういうことですか”と納得してくれた様子を見て、私はようやく肩の力が抜けましたね。“あとは私が対応します”と言われ、その数日のうちに、会社のほうにアユミさんから連絡が入ったようでした。
ただ、夫である明智さんの社内不倫を訴えるに留めたようで、相手が誰であるかは明かさないでくれたようです。そのため私にお咎めはなく、ペナルティを受けたのは明智さんだけ。明智さんにはその後、異動の辞令がくだり、別の部署に移っていきました。
明智さん夫婦は、それからしばらくして離婚。私も、ほとぼりが冷めて社内で誰も明智さんの話題に触れなくなったころに、会社を辞めました。でもアユミさんは私のことを気にかけてくれて、よく連絡をくれました。その後いろいろあって、現在はアユミさんの父親の経営する会社で、いい条件で働かせてもらっています」

“騙されて社内不倫に堕ちた女性の告白”をご紹介しました。
嘘に巻き込まれた形でしたが、彼が軽薄なタイプであることは分かっていたはず。安易に信用すべきではなかったのでしょう。

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