「家族」のカメと笑顔の再会 30年間飼育、穴水の林さん 全壊の家屋から4カ月ぶり

全壊した家屋から出てきたカメを持つ林さん(右)。左はカメを見つけた西尾さん=穴水町川島

  ●下敷きで亡くした「母」と思い

 地震で全壊した穴水町川島の民家から1匹のカメが見つかった。飼い主は林淳彦さん(62)。30年近く飼育し体長30センチほどに大きくなった「家族」は、がれきの下で生きていたとみられる。倒壊した家屋では同居していた母喜美子さん(90)が下敷きになって亡くなった。林さんは「母と思って一緒に暮らしたい」と約4カ月ぶりの再会を喜んでいる。

 映画「ガメラ」が好きでカメを育てるようになったという林さん。30代の頃、七尾市内のホームセンターでアカミミガメ(ミドリガメ)を10匹購入し、地震前まで雄1匹、雌3匹を飼っていた。

 当初、甲羅が500円玉ほどの大きさだったカメは、それぞれ約10~30センチに成長。今回見つかったのは4匹のうち一番大きかった雌で、林さんの2軒隣に住む西尾悦子さん(71)が17日に発見した。

 カメが泥まみれだったため、倒壊家屋から出てきたと思い、林さんに連絡。カメには地震前から負っていたという左後ろ足にけががあり、飼っていたカメだと確認した。

 林さんによると、カメは玄関に置いたプラスチックの衣装ケースに水を入れて暮らしていた。林さんは「ずっと心配していた。1匹だけでも生きていることが分かってうれしかった。大変なことは多いが、良いこともあると思って頑張りたい」と笑顔を見せた。

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