【インド】イセ・スズキ・エッグ、鶏卵の製造販売を再開[食品]

生食が可能な卵製品「イセエッグ・プレミアム スーパーフレッシュ」=19日、インド北部ハリヤナ州グルガオンの小売店(NNA撮影)

鶏卵事業を手がけるイセ・スズキ・エッグ・インディアが19日、鶏卵の製造販売を再開した。イセ・スズキ・エッグや取引先関係者への取材で分かった。同社は2023年12月、鶏卵の製造販売を無期限に停止。資金繰りの悪化が要因とみられていた。

イセ・スズキ・エッグや取引先関係者によると、イセ・スズキ・エッグは今後、生食に対応した製品と対応していない製品の2種類を販売する。鶏卵の洗浄・出荷拠点は従来通り、インド北部ウッタルプラデシュ州ノイダの工場を活用する。

生食可の製品は「イセエッグ・プレミアム スーパーフレッシュ」(パッケージの色は白)で、1パック6個入りで最高小売価格(MRP)258ルピー(約480円)。毎週月曜と金曜に製造・出荷する。製造販売再開に伴い、パッケージデザインを変え、価格を150ルピーから7割上げた。生食の場合は、製造日から10日までを目安に食べる必要がある。外国人駐在員やインド人富裕層をターゲットにしている。

生食不可の製品は「イセエッグ・プレミアム」(パッケージの色は黄)で、6個入りパック(1パック150ルピー)と10個入りパック(1パック250ルピー)がある。生食可の製品より手頃な価格で、インド人中間層をターゲットにしている。毎週水曜に製造・出荷する。

イセ・スズキ・エッグは12月2日の製造・出荷を最後に、飼料や燃料、人件費の高騰、為替変動の影響を理由に、全製品の製造販売を停止した。

停止前、イセ・スズキ・エッグはたまご&カンパニー(旧イセ食品)が60%、スズキが40%を出資する会社だった。製造販売再開に伴い、たまご&カンパニーは出資比率引き下げまたは出資引き揚げを実施したとみられるものの、NNAの取材に対してたまご&カンパニーは「経営・契約事項については回答を控える」、スズキも「当社として話せることはない」と答えた。

■生食文化無いインド人への訴求が課題

製造販売の再開を受け、イセ・スズキ・エッグ関係者はNNAの取材に対し、「各小売店の売れ行きは好調で、一部店舗は売り切れも出ているようだ」と好調ぶりをアピールした。

小売店関係者の一人は「在インド日本人の中には、生食が可能な卵を好きな人々がたくさんいる。そうした消費者は再開を喜ぶだろう」と言及。卵を生で食べる文化を持たないインド人に対しては、「値段が高い上、ビタミンなど生食可以外のメリットをアピールしないと、この先も事業は厳しいだろう」と話した。

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