【ミャンマー】24年成長率1.2%予測、ADB経済見通し[経済]

アジア開発銀行(ADB)は、先ごろ公表した報告書で、ミャンマーの2024年度(24年4月~25年3月)の国内総生産(GDP)成長率を1.2%と予測した。前年実績から0.4ポイント上昇するとしたが、政情不安の影響が続き、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国に東ティモールを加えた東南アジア11カ国で最も低い水準にとどまるとみている。インフレ率は、引き続き10%を上回る高い水準で推移すると見込む。

ADBは11日に報告書「アジア経済見通し」を発表。ミャンマーの24年の経済について、地方の武力紛争による不安定な情勢が主要産業の成長を下押しすると分析した。

産業別では、工業の生産高は24年度に前年比2.5%、25年度に同3.0%の成長にとどまると予想した。サービス業は、24年度が1.2%、25年度が2.5%。通信、旅行・観光、運輸は業況が緩やかに回復するが、輸送コストの上昇と治安の問題で成長は限られると説明した。

農業は24年度、1.0%低下するとした。紛争によるサプライチェーン(供給網)や物流の混乱に伴うコスト増、中国への輸出不振が響くと分析した。25年度の予測は明らかにしていない。

インフレ率は、24年度に15.5%、25年度に10.2%になるとみている。23年度の22.0%からは低下するものの、食料の生産と供給の減少やチャットの下落継続で2桁台が続く見通しだという。

今後の経済リスクについては、経済や開発の停滞と貧困の拡大、国際的な制裁や海外からの支援減、異常気象などを挙げた。

ミャンマーの経済成長率については、国際調査機関のASEANプラス3マクロ経済調査事務局(AMRO)が先に、24年度と25年度のミャンマーのGDP成長率をいずれも3.2%と予測した。経済活動の停滞と物価高を背景にした内需抑制、政情不安に伴う国内外からの投資低迷が低成長の背景にあると指摘。一方、中小零細企業と衣料品産業に緩やかな回復の兆しが見えていると説明した。

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