雨が影響した週末は代役スピネッリ、バウティスタ、ラズガットリオグルがぞれぞれ1勝を挙げる/SBK第3戦オランダ

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第3戦オランダラウンドがTT・サーキット・アッセンで行われ、レース1はニコラス・スピネッリ(バーニー・スパーク・レーシングチーム)、スーパーポール・レースはアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)、レース2はトプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が優勝した。

 オランダラウンドには、ダニロ・ペトルッチ(バーニー・スパーク・レーシングチーム)に代わってニコラス・スピネッリがSBKに初参戦した。ペトルッチがモトクロスでのトレーニング中にクラッシュし、右鎖骨と顎を手術したためだ。また、イケル・レクオーナ(チームHRC)がフリープラクティス3のクラッシュで負った右膝の負傷により、欠場となった。

 オランダラウンドの週末は、天候が目まぐるしく変わるダッチ・ウェザーに見舞われた。スーパーポール(予選)はウエットコンディションとなり、全ライダーがレインタイヤを使用。この状況で、ジョナサン・レイ(パタ・プロメテオン・ヤマハ)が今季初、ヤマハへ移籍後初のポールポジションを獲得した。

 2番手はニッコロ・ブレガ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)、3番手はトプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)で、アルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)は7番手だった。

 レース1は気温9度、路面温度18度。天候は晴れだが、路面は濡れていてドライ方向に変化することが予想される、タイヤ選択に難しいコンディションとなった。ほとんどのライダーがスリックタイヤを選択し、唯一、スピネッリだけが前後にインターミディエイトタイヤを選んだ。

 ホールショットはポールポジションスタートのレイが奪ったが、まだ1周目はスリックで攻められる状況ではなかった。すぐにスピネッリがトップに立ち、2番手に15秒近くのギャップを築く。序盤には、数人のライダーがピットに入ってタイヤを交換している。

 インターミディエイトで単独トップを走るスピネッリの後方では、2番手にフロントのみインターミディエイトを履くアンドレア・ロカテッリ(パタ・プロメテオン・ヤマハ)が浮上し、アクセル・バッサーニ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、アレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、バウティスタ、ラズガットリオグルなどが集団を形成する。

 5周目には前後スリックを履くバッサーニがファステストラップを記録しており、路面はスリックが機能する程度に乾き始めていた。だが、トップのスピネッリはこの間に、すでに25秒のアドバンテージを築いている。

 2番手は激しく争われ、レース中盤の9周目では、バウティスタが2番手につけ、3番手がラズガットリオグル、4番手がアレックス・ロウズという状況だった。このころはすでにスリックタイヤ勢の方がペースがよく、毎周、猛烈な勢いでバウティスタとラズガットリオグルが追い上げていく。ただ、スピネッリが築いたアドバンテージは大きく、残り9周で、いまだ9秒の差があった。残り8周で、その差は5秒になる。

 残り8周、ラズガットリオグルがバウティスタをオーバーテイク。2番手がラズガットリオグル、3番手がバウティスタに順位を入れ替えた。残り7周で、トップのスピネッリとの差は3秒を切る。

 ところが、残り7周で赤旗が提示された。赤旗の原因は、15コーナー付近の路面にオイルが飛散したためである。この直前、ロカテッリがテクニカルトラブルにより白煙を上げて走行している様子が確認されている。レース距離の3分の2を終えていたため、この赤旗をもってレースは終了となった。

 この結果、スピネッリがSBKで代役参戦で初優勝を飾った。赤旗終了があったとはいえ、タイヤ選択が奏功したとも言える。2位はラズガットリオグル、3位はバウティスタが獲得した。

 4位はレミー・ガードナー(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)、5位がアレックス・ロウズで、レイは6位でレースを終えた。

■レース2:複雑なコンディションでラズガットリオグルが勝利

 日曜日のスーパーポール・レースは天候に恵まれ、ドライコンディションで行われた。7番グリッドからスタートしたバウティスタが見事な追い上げで優勝を飾った。2位はブレガ、3位は最終ラップでガードナーをかわしたアレックス・ロウズだった。4位はガードナー、5位にはレイが入っている。

 スーパーポール・レースの結果により、レース2のグリッドの1列目にはポールポジションにバウティスタ、2番グリッドにブレガ、3番グリッドにアレックス・ロウズが並び、レイは5番グリッド、ラズガットリオグルは9番グリッドからのスタートとなった。

 レース2は気温9度、路面温度17度のドライコンディションでスタートした。ホールショットを奪ったのはポールポジションスタートのバウティスタ。2番手にはロカテッリが浮上し、3番手にブレガ、4番手にレイが続く。ラズガットリオグルは8番手につけていた。

 2周目には5番手だったガードナーがポジションを上げて3番手に浮上し、ラズガットリオグルも5番手につける。レイは6番手に後退した。ガードナーとラズガットリオグルはさらにポジションを上げ、ガードナーが2番手、ラズガットリオグルが3番手に上がり、さらにラズガットリオグルがガードナーをパスして2番手となった。

 トップのバウティスタとラズガットリオグルとの差は約0.5秒である。ラズガットリオグルはじりじりとその差を詰めていく。7周目、ラズガットリオグルがバウティスタをオーバーテイクし、ラズガットリオグルがトップに立った。

 9周目には天候が変わり、雨が降り始める。トップ争いは混戦となり、バウティスタがラズガットリオグルをかわして再びトップとなった。ラズガットリオグルの後ろには、ロカテッリとガードナーが続き、アンドレア・イアンノーネ(チーム・ゴーイレブン)、マイケル・ファン・デル・マーク(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)もこの集団に加わった。

 12周目にはレースディレクションにより、タイヤ交換のためのピットインの許可がアナウンスされた。雨粒は落ちているが青空も見える、難しい天候である。8人で形成されたトップ集団をガードナーが率い、その後、ロカテッリがレースリーダーとなった。

 レース終盤、小雨によって落ちていたペースが再び上がっていく。トップに立ったのはラズガットリオグル。その後ろにバウティスタとガードナーがぴたりとつけたが、次第に3人の差はそれぞれ開いていった。

 ラズガットリオグルはトップを守り、優勝を飾った。これは、ラズガットリオグルとBMWにとって、アッセンでの初めての優勝である。2位はバウティスタが獲得し、3位はガードナーで、SBKでの初表彰台となった。

 4位はイアンノーネ、5位はロカテッリが入っている。レイは10周目の1コーナーで転倒を喫し、レースに復帰して19位だった。

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)では、レース1で鳥羽海渡(PETRONAS MIE Racing Honda)が24位、大久保光(Vince64 Racing Team by Puccetti)が25位だった。序盤に降った雨によりスリックからレインタイヤに交換となったレース2は、鳥羽が6位、大久保が17位でレースを終えた。

代役でSBK初参戦にして優勝を飾ったニコラス・スピネッリ(バーニー・スパーク・レーシングチーム)(中央)

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