水原氏を失った大谷翔平は「個人として成長できるか」 再び直接取材なしの現状に米メディア提言

ドジャースの大谷翔平【写真:ロイター】

専属通訳を失った大谷翔平…現在は再び口を閉ざす

米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手には、開幕早々大きな変化が起きた。専属通訳を務めていた水原一平容疑者が、大谷の資金を盗用したとして銀行詐欺罪で追訴され、球団からも解雇された。大谷につねについている通訳はいなくなり、一時的に大谷と報道陣は英語で直接会話する環境が生まれたものの、現在はそうではなくなっているという。

米スポーツ専門局「FOXスポーツ」が「ショウヘイ・オオタニがギャンブルの物語からいかにドジャースの一員として、そして個人として成長できるか」という記事で、大谷とメディアやチーム関係者が話す機会が少ない状況を憂えている。

新任の通訳となったウィル・アイアトン氏は、球団のデータ分析などの業務も抱えており、常に大谷についていられる状況ではない。水原容疑者が解雇された直後は、米国のメディアが大谷に直接話しかけられる環境だったものの、いつの間にか「オオタニと自由に話そうとした報道陣は、ドジャースの広報に止められた」という環境に戻ったのだという。

記事は、大谷が取材に応じる機会を減らしているのは「彼の代理人のネズ・バレロかもしれないし、オオタニ自身かもしれない」「あるいはドジャースが彼を野球だけに集中させようとしているのかもしれない」と、いまだ不透明だと指摘している。

さらに「この厳しい試練によってオオタニがさらに閉鎖的になるか、それともさらに人に入ってもらうことの価値を見出すことになるのか? もし彼が後者を選べば、オオタニがドジャースの役に立つ機会はさらに増える」として、大谷がメディアにもっと口を開くようになれば、チームにも好材料だとしている。

そして、大谷と水原容疑者という“異例の”存在が現れたことで、その例に習おうとする選手まで現れているという。

「常に専属通訳が後を追いかける」選手が大谷以外にも出現

記事は「少なくともメジャーリーグにいる1人の著名な選手は、オオタニとミズハラの古い青写真の後を追っている。この選手は英語を流ちょうには話さず、常に専属通訳が影のように彼の周りを追いかけている。最近のある事件では、記者がその選手に質問したところ、通訳は質問を訳する代わりに自ら質問に回答した」と、その異常な状況を紹介した。

加えて「それは言語の壁があるだけでなく、選手との間に立った通訳のセキュリティガードのような存在のせいでもあった」と原因を推察している。

水原容疑者が大谷の周りにいることで、チームとのコミュニケーションの障害となっていた面もあるのはデーブ・ロバーツ監督も認めている。大谷が賭博に関与していないという内容の声明を発表した3月25日(同26日)には「緩衝材が取り除かれた」「直接的なコミュニケーションが増えることを期待」などと語っている。

記事によれば、ドジャースのチームメートも、大谷と野球のことについては話すものの、野球と関係のない個人的なことは深く知らないと話しているといい、通訳が変わることで「彼ら(チームメート)が、フィールド外の彼(大谷)のことを本当に知ることはあるだろうか? たとえ自分の考えを公に共有したくなかったとしても、オオタニは内なる考えや気持ちをチームメートと共有することがあるだろうか?」と、大谷とチームメートとの関係性も変わることを期待しているようだ。

なぜかと言えば勝つためだ。「チームメートはお互いをよく理解したときにつながり、絆を強くする傾向がある。ドジャースは間違いなく、オオタニの野球の才能については理解しているが、もし選手やコーチが彼のことをより個人的に深く知ることができれば、長期的なチームのケミストリーを助けることになる」として、お互いの理解を深めることがチームの成熟度に直結すると指摘した。

また、メディアの取材にももっと応じるべきだと、遠回しに指摘している。「彼を動かしているものがなにか、世界中の何百万というファンにより見せれば、それはオオタニに恩恵を与えるだろう」とした。共有したくない情報を明かす必要はないが、プレー以上に自身を取り巻く環境に深くかかわることが「この不幸な物語にとって希望の兆しになるだろう」と、様々な解決をもたらすと言及している。

THE ANSWER編集部

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