伏木復興へ元気もらった 勝興寺で地元住民企画「花めく」

国宝の大広間で開かれた落語会=高岡市伏木古国府の国宝勝興寺

  ●「観光まつり」代替 被災事業者が出店

 能登半島地震で道路や建物の被害が多発した高岡市伏木地区の国宝勝興寺(伏木古国府)で21日、地元住民が自ら企画したイベント「花めくふしき2024」が開かれた。出店した伏木の被災事業者らは、イベントの活気や来場者からの励ましの声を受け、「復興を目指して進む元気をもらえた」と前を向いた。

 イベントは、市の「伏木観光まつり」が中止となったため代替として事業者らが計画した。

  ●落語や演奏会に笑顔

 国宝の大広間で初となる落語会には落語家金原亭小馬生(きんげんていこばしょう)さんと、イベントを企画した塚田高史さん(44)がアマチュア講談師「くらふ亭つかちゃん」として出演した。小馬生さんは「親子酒」と「長屋の花見」を披露。塚田さんは、菓子店の主人が相撲見物に入れ込む講談「夫婦(めおと)餅(もち)」を演じた。

 勝興寺の参道沿いにも店が並んだ。地震で店舗が傾いた「嘉太郎珈琲」(伏木中央町)の能澤隆廣店主(62)は勝興寺にちなんだ「ふるこはんブレンド」を提供し、「お客から励ましの声をもらい元気が出た。伏木のにぎわいを取り戻したい」と期待した。

 店内の酒や器が破損し、母屋も大きな被害を受けた「居酒屋adcafe」(伏木錦町)や、店内の床が隆起しながらも営業を続ける「林伝商店」(伏木中央町)も出店した。

 本堂では歌手澤田知可子さんによる復興支援のコンサートが開かれた。珠洲、七尾でも公演をしてきた澤田さんは「力になれるようなら、また呼んでほしい」と被災地に心を寄せた。

 以前に高岡で暮らしていた渡辺貴哉さん(43)=石川県津幡町=は「被害を知って心配していたが、イベントに活気があって安心した。けんか山も見に来たい」と話した。伏木地区の幼稚園に通っていた長男の慧君(津幡小2年)も出店のバルーンショーを楽しんだ。

 塚田さんは「多くの人が集まり、伏木でいい春を迎えることができた。復興への活力となった」と話した。

© 株式会社北國新聞社