岩田剛典、朝ドラと日曜劇場でギャップのある役柄に 『虎に翼』花岡が隠す“本性”とは?

長谷川博己主演のTBS日曜劇場『アンチヒーロー』に、町工場の社長殺害事件の容疑者・緋山役で出演した岩田剛典。金髪姿で緋山に扮した岩田は、静かな演技で、殺人犯なのか、それとも無罪なのかと、視聴者を翻弄した。そんな岩田は、NHK連続テレビ小説『虎に翼』では、ぴっちりと分けた黒髪で、法学部の男子学生・花岡悟役を演じている。

花岡は『虎に翼』の第15話の最後に登場し、第4週から本格的にヒロイン・寅子(伊藤沙莉)たちと関わってくるようになる。本科と呼ばれる法学部に進学した寅子たちは、法改正によって、女子も正式に弁護士になるための試験を受けられるようになったため、ますます気合いを入れて勉学に励む。花岡らは寅子たち女子学生を、意外にも好意的な態度で迎え入れるが、実は花岡は本性を隠しているようだ。

社交的で学生たちの中心的な存在である花岡は、女子部卒の学生たちにも、すぐに心を開いた様子で、女性からも大人気となる。法曹を目指す法学部の学生役と、『アンチヒーロー』での容疑者役は、まさに真逆。同クールの2つのドラマで、岩田はギャップのある役柄に挑んだ。

三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのパフォーマーであり、ソロアーティストとしても活躍している岩田は、2010年に芸能界入りしてから、俳優としても積極的に演技に取り組んできた。

TVドラマと映画が作られた『HiGH&LOW』シリーズでは、キレキレのアクションを披露し、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016年)、『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(2018年)などの映画や、ドラマ『あなたがしてくれなくても』(2023年/フジテレビ系)などではラブストーリーにも挑戦。

また、『新解釈・三國志』(2020年)や『ウェディング・ハイ』(2022年)では、コメディ演技で新境地を開き、演じる役の幅を広げた岩田。『アンチヒーロー』は、岩田にとって初めての日曜劇場への出演となったが、殺人事件の容疑者役としての登場は視聴者を大いにざわつかせ、画面に釘付けにさせた。

三代目 J SOUL BROTHERSや、ソロアーティストとして活動している際の、素顔の岩田のイメージでは、好青年という言葉がピッタリきて、『虎に翼』の花岡役はハマり役という感じがする。だが、『死刑にいたる病』(2022年)で、連続殺人事件の犯人なのかどうか、観客の気持ちを揺さぶる、長髪の不気味な男を怪演したことを思い出すと、『アンチヒーロー』での緋山役も、岩田が培ってきた演技力で表現するのに相応しいキャラクターだったと実感できる。

日曜劇場と同じく、朝ドラにも初出演の岩田は、ギャップの大きい2つの役を演じ分け、視聴者を楽しませてくれている。彼が演じる花岡は、寅子とどのように関わっていくのか。誠実そうに見える彼の抱える“本性”とは何なのか。期待が高まるばかりだ。
(文=清水久美子)

© 株式会社blueprint