【巨人】阿部新監督のタクトに「合格点」 大下剛史氏が唸った不振・坂本勇人の〝蘇生法〟

降雨中断中、ベンチで笑顔を見せる巨人・阿部監督(左)

新生・阿部巨人のここまでの評価は――。巨人は21日の広島戦(マツダ)に5回降雨コールドで引き分けた。阪神、広島との敵地6連戦を3敗3分けで終えた阿部慎之助監督(45)に対し、本紙専属評論家の大下剛史氏は青年監督のここまでのタクトに「合格点」を出した。

6回に飛び出した小林の先制犠打は幻となった。直後に降雨で中断となりそのまま試合が終了。5回終了時点の0―0でドローとなった。阿部監督は「敵地の引き分けって勝ちに等しいと思う。3勝3敗だと思って帰ろうかな」と顔を上げた。

マツダスタジアムで阿部巨人の戦いを注視した大下氏は「若い阿部監督を中心にチームのムードが一変した。一緒に戦ったことがある選手にとって、監督というよりも兄貴分。コミュニケーションも取りやすく、やりやすいだろう」と青年監督が指揮を執る利点を挙げた。

それを象徴するような〝復活劇〟が目の前で起こった。開幕から「5番・三塁」で起用するも19日の第1戦まで23打席無安打だった坂本勇人内野手(35)を20日の第2戦から「3番・三塁」に変更。その起用前日に阿部監督は「(坂本は)今が一番悪いから。経験もあるし、今よりひどくなることはないと思うので、開き直ってやってくれたら」と絶大な信頼感を示していた。

その指揮官の期待通り坂本は3安打猛打賞。同じく3番で出場した21日も3打数1安打をマークした。大下氏は「中距離バッターで足もある坂本は、5番ではなく3番タイプ。もちろん阿部監督もそんなことは百も承知だろう。岡本和の後ろを打つバッターがいないチーム事情だったが、坂本を復調させる方法を阿部監督が誰よりも知っている」とうなずいた。

また、現在巨人のスタメンに助っ人野手の名前はなし。開幕直前にオドーアが退団し、19日に支配下に昇格したウレーニャは控えスタートとなっている。今年で90周年を迎えた巨人にとって、開幕時点で外国人野手ゼロは異例の事態だった。

「国産打線」について大下氏は「今は円安もあって、メジャーの一線級が日本に来る時代じゃない。その分の打席を若手に与えてスターに育てる方がいい。カープは長い間、そのやり方でやってきた。巨人もそちらにかじを切った方がいい」と「ケガの功名」にするべきだという。

20試合を終えて9勝8敗3分けの阿部巨人。大下氏は「若い選手を起用しながら、しっかりと上位につけている。現時点では十分に合格点じゃないか」と評価した。

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