【F1】角田裕毅〝急失速〟の中国GP 「まともには走れない…」小倉茂徳氏が原因を徹底解析

角田裕毅(左)は無念の接触リタイアとなった(ロイター)

〝急降下〟の原因は――。F1中国グランプリ(GP)決勝が21日に上海で開催され、RBの角田裕毅(23)はケビン・マグヌッセン(31=ハース)に追突されて無念のリタイアに終わった。決勝では不運に見舞われた格好だが、20日のスプリントや予選など中国GPでの角田は終始低迷。これまでの好調から一転して不振に陥った要因を、モータースポーツジャーナリストの小倉茂徳氏(61)が分析した。

19番手からスタートした角田はルイス・ハミルトン(メルセデス)など3人を1周目でごぼう抜き。順調な走りを見せて、さあここからという27周目にアクシデントが起きた。

セーフティーカーからの再開直後、後ろを走っていたマグヌッセンが、コーナーで角田のマシン後部に激突。スピンした角田はレース続行不可能で無念のリタイアとなった。国際自動車連盟(FIA)とF1は「20号車(マグヌッセン)はコーナーに飛び込み、ブレーキングが遅れ、コーナー出口で22号車(角田)と衝突した。衝突の主な原因は20号車にあると判断した」と発表。マグヌッセンには10秒のタイムペナルティーが科された。

小倉氏は「角田からしたら避けようがない。マグヌッセンは前に出たいのは分かるが、あまりにも不用意だ。完全にもらい事故」と説明。角田にとっては不運なリタイアとなった。

ただ、小倉氏が「今週末は総じて、角田は順位が良くなかった」と指摘するように、中国GPでは19日のスプリント予選で19位、20日のスプリントで16位、本予選でQ1敗退の19位と終始低迷した。今季は好調だったにもかかわらず、なぜ突如不振に陥ったのか。

「(角田は)リア(後輪)のグリップ(路面との摩擦力)感が全然ないと言っていたが、タイヤがしっかり路面を捉えてくれず、フラフラした感じの車になってしまっているということ。そうなると、まともには走れない。2日目になって少し感覚は良くなったが、タイムに結び付かない。タイヤ、路面とすべての要素がかみ合っていない」と原因を分析した。

そして、かみ合わなかった理由は「どう対処するのかはチーム、エンジニア。良い車を仕立てられなかったのが原因。中国開催が5年ぶりでコースのデータがなく〝未知〟の路面との戦いになる中、うまく対応できているチームもあったが、RBの〝角田組〟に関しては良い解決策が見いだせなかった」と指摘した。

中国では空回りだった角田にとって、重要なのは今後だ。「チームはもちろん問題を検証する必要はあるが、角田はそれよりも気持ちを切り替えたほうがいい。どうしてもうまくいかない時はある。車がちゃんと走れば、鈴鹿みたいな結果は出せる。次以降、うまくセットアップ(調整)できるかどうか」。

次戦のマイアミGP(決勝5月5日=日本時間同6日)で復活を期待したいところだ。

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