堺市/本庁舎ESCOでZEB化、既存施設で国内最大級・6月21日に公告予定

堺市は、市役所本庁舎(堺区南瓦町3の1)をESCOでZEB化するプロジェクトに着手する。本館と高層館、保健センター、自動車車庫など既存の市役所施設すべてで行う。総延べ床面積は約7万6000平方メートルに及び、既存ビルZEB化では「日本で最大規模」になるという。契約方式はギャランティード・セイビングス(自己資金型)で、ZEB Orientedの認証取得を目指す。6月21日に公募型プロポーザルを公告予定。参加表明書を7月8~12日、提案書を9月2~6日に受け付け、優先交渉権者を決め10月下旬に通知する。
市はエネルギーの地産地消プロジェクトの象徴的な事業として位置付ける。
市役所のうち高層館は1992年の完成。当時の最先端設備を設置した。完成から20年が経過し、より効率的な運転が可能な空調設備が登場し、設備負荷のモニタリング技術も進展した。こうした状況を踏まえ、設備規模の再構築による運転の最適化などが実現できると判断し、ESCOによるZEB化実施を決めた。
事業者は既存設備改修と、市への運転管理指示、エネルギー削減量の計測・検証を担う。必ず改修する設備は空調熱源設備と、蛍光灯などの照明設備。工事期間は2025~27年度の3年以内を想定。省エネルギーサービス期間(光熱水費削減保証)について市は、15年間を視野に検討している。
ESCOサービス上限額は23億1600万円。光熱水費削減保証額は光熱水費削減予定額の80%以上。
ギャランティード・セイビングス契約を採用するため、市が設備改修の初期費用を用意。契約期間中の改修設備は市が所有する。
市は、既に本庁舎ZEB化事業の可能性調査を行い、現在の各施設と市役所全体のエネルギー消費量などを調べ、ZEB化の実現性・事業性を検証してきた。断熱性能(外皮性能)やエネルギー消費性能(BEI)を算出。BEIの事前公表で、基準を統一し、事業者の負担を減らす。
市役所本庁舎のうち、高層館の規模はS一部SRC造地下4階地上21階建て延べ2万5990平方メートル。04年完成の本館はSRC造地下3階地上12階建て延べ3万8319平方メートル。保健センターと自動車車庫などは21年に完成した。保健センターはS造4階建て延べ3672平方メートルで、自動車車庫などはS造7階建て延べ7967平方メートル。
環境省は22年、市のエネルギー地産地消プロジェクトを審査し、同市をカーボンニュートラルに向けた電力消費の二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロなどを実現・先導する「脱炭素先行地域」に採択した。

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