鹿島ら/CO2吸収・固定型コンクリ専用の実証プラント建設、実規模で容易に試験製造

鹿島と生コンクリートの製造や販売を行うセイア(東京都港区、小崎貴紀社長)、日工、北川鉄工所の4社は、コンクリート製造プラントを兵庫県加西市に建設し、運用を始めた。コンクリート製造過程で排出される二酸化炭素(CO2)が実質ゼロ以下となる「カーボンネガティブコンクリート」の製造と実証が目的。専用プラントを構えることでCO2の排出量削減や固定、吸収につながる材料で構成するコンクリートを実規模で容易に試験製造できる。
製造実証プラントの建設は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業で鹿島、デンカ、竹中工務店が組成したコンソーシアム「CUCO(クーコ)」が進めるカーボンネガティブコンクリートの開発プロジェクトの一環。プラントの運用によりコンクリート製造過程で発生するCO2の総排出量を正確に把握できる。CO2を効果的に低減するための技術開発を推進する。
プラントには、コンクリートの製造に必要な水や電力の使用に伴うCO2排出量を検証できる設備を備える。練り混ぜ方式の異なる2台のミキサー(パドル式、連続羽根式)を装備し、粉体用の貯蔵ビン3基、混和剤用のタンク3基を配備。その他の材料をミキサーに投入しやすくするため一般的なコンクリート製造プラントにない材料保管場所を確保した。さまざまな材料を使用したコンクリートの試験製造が可能となる。
コンクリートへの効果的なCO2吸収を検討するための設備も搭載した。温度、湿度、CO2濃度を制御できる炭酸化養生設備や排水処理設備のほか、コンクリート材料の輸送、計量、練混ぜ、炭酸化養生、排水処理の各段階の電力消費量を計測しCO2排出量を見える化するシステムなどを設けた。
4社は1月、プラントでコンクリート製造時に消費する電力量を把握し、低減策の検討を始めた。検討成果は、一般的なコンクリート工場でも応用可能で、製造コストの抑制にもつながる。今後、多種多様な革新的カーボンネガティブコンクリートの製造性を実証する場として、プレキャスト(PCa)コンクリート製品、レディーミクストコンクリートを問わず試験製造を行う。

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