栃木2遺体事件で25歳男を逮捕 謎呼ぶ「兄貴分」供述…トクリュウから黒幕にたどり着くのか

被害者・宝島さんのお店があった〝宝島ロード〟の様子

東京都台東区の上野で飲食店などを営む宝島龍太郎さん(55)と、妻とみられる40~60歳くらいの女性の遺体が16日に栃木県那須町の河川敷で見つかった事件で、栃木県警などは21日、死体損壊の疑いで埼玉県越谷市の建設業、平山綾拳容疑者(25)を逮捕した。今回の事件にはトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)が関わったとみられており、〝黒幕〟までたどり着くことはできるか。

17日に「自分が事件に関係しているかもしれない」として東京都内の交番に出頭していた平山容疑者。逮捕容疑は氏名不明の人物らと共謀し、遺体に火を付けて損壊した疑い。「出頭するかどうか事前に複数人で話し合った」「名前は言えないが、兄貴分に指示されて車を貸しただけ。殺害には関わっていない」と話している。

宝島さんらは上野で飲食店十数店舗を経営。周囲の飲食店との多くのトラブルが確認されている。近隣飲食店との客引き争いで警察が出動したり、他店の悪口を吹き込んだり、他店と訴訟になったりしているという。

元警察関係者は「上野の繁華街エリアは10年前から客引きトラブルがひどく、顔に硫酸をかけたり、集団乱闘などの争いもあった場所です。そんな激しいエリアで、コロナ禍で畳む店が続出したころから宝島さんは出店攻勢をかけ、ここ2、3年で上野から御徒町に十数店舗も出した。宝島さんは中国出身で日本に帰化した人物。中国系が深く根付いているエリアで、古くからの〝親分〟に嫌われていたとみられています。また、トラブルは数限りなく、恨みを多く買っていたそうです」と語る。

現場の状況や平山容疑者の供述から、複数人が犯行に関わっているようだ。

「平山容疑者だけが出頭したことから、犯人グループはつながりが強固ではなく、その場限りの実行役として集められたトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の可能性があります。宝島さんが抱えていたトラブルが分かりやすいだけに、捜査が進めば恨みを持っている人物にたどり着けます。そのような〝黒幕〟の人物が手を出せば、すぐに逮捕されます。黒幕にたどり着けないように指示役として〝兄貴分〟が犯人グループを集めたとみられます」(同)

謎なのは平山容疑者が〝兄貴分〟と呼ぶ存在だ。「平山容疑者は遺棄実行役で雇われただけで、全体像は分かっていないでしょう。宝島さんを拉致、殺害したのは別の人物の可能性が高いです。兄貴分を逮捕することが重要です」と同関係者は話している。全容解明することはできるか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社