天草の魅力、エッセーで発信 小山薫堂さんら33人 熊本・天草市が発行 地域の良さ、再発見を

 のさりの島を旅することは、心の洗濯をしに来ること─。熊本県天草市は、小山薫堂さんや吉本ばななさん、日比野克彦さんなど天草にゆかりのある33人によるエッセー集「Feel good Amakusa」を発行した。作家や歌手、陶芸家などが、独自の感性で天草を語り尽くしている。

 天草の良さを見つめ直し、魅力を再発見しようと初めて企画した。

 吉本さんは「魂のふるさと」と題したエッセーで、祖父母が天草から「夜逃げ」したと聞かされて育ったことから「天草が憧れの地だった」と告白。天草に住んだことのない父親が、景色が似ていた西伊豆(静岡)を愛したことや、墓参りの際に出会った遠い親戚の優しさに触れ「この豊かな場所にルーツがあってよかった」とつづっている。

 文筆家の甲斐みのりさんは、あか巻きや杉ようかん、かき氷の「ガリっとチュー」など「天草の食べ物はピンク色が印象的」と指摘。「天草のピンク探しをしてみたい」と独自の視点を披露した。

 潜伏キリシタンと南蛮文化の解説や、旧市町ごとの名物などを写真とイラストで紹介。巻末には定番の観光スポットや、ゆかりの人物も掲載し、天草をさまざまな視点から楽しめる内容となっている。

 企画した市観光振興課の担当者は「特に天草市民が地域の良さを見つめ直し、好きになるきっかけになれば。読んだ後、ぜひ市内を旅してほしい」と話している。A5判、240㌻。2970円。(福井一基)

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