巨人・高橋礼が防御率0.38でセ・リーグトップに 好調の要因は阿部監督の投手陣改革にあり?

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高橋礼が5回無失点で防御率トップに浮上

巨人の高橋礼が防御率でセ・リーグのトップに躍り出た。21日の広島戦(マツダスタジアム)で今季4度目の先発マウンドに上がると、5回67球を投げて4安打1四球無失点と好投。防御率は試合前の0.47から0.38となり、同0.44の菅野智之を抜き、首位に立った。

移籍後初めてのビジター、そして屋外球場での登板となったこの日、3回以外は毎回ランナーを背負う展開もコーナーを突く投球でピンチを切り抜け、無失点投球。試合は5回降雨コールドで引き分けとなり、自身3連勝はお預けとなったが、ここまで4試合で計24イニングを投げて失点はわずか1と安定感抜群の投球を披露している。

昨年11月に同僚の泉圭輔とともに、アダム・ウォーカーとの2対1のトレードでソフトバンクから巨人に移籍したサブマリン右腕はオープン戦で2試合に先発し、計9イニングを投げて1失点とアピールに成功。開幕ローテを勝ち取った。

移籍後初先発となった3月31日の阪神戦(東京ドーム)で6回無失点と好投。打線の援護に恵まれず、白星とはならなかったが、2度目の登板となった7日のDeNA戦(東京ドーム)でも6回無失点と再びの快投で、1086日ぶりとなる白星を挙げた。続く14日の広島戦(東京ドーム)でも7回1失点で2連勝。新天地で見事なパフォーマンスを見せている。

BB%が今季大幅に改善、チーム方針が後押し?

高橋は専大松戸から専修大を経て2017年ドラフト2位でソフトバンクに入団すると、2年目の2019年に先発ローテの一角として12勝を挙げ、新人王を獲得。翌年は中継ぎとして52試合に登板して23ホールド、防御率2.65の成績でリーグ優勝と日本シリーズ4連覇に貢献した。しかし2021年から昨季までの3年間で計20試合にしか登板できず、ここ数年は不調が続いていた。

それが今年はこの大活躍。いったい何が変わったのだろうか。投球内容を見てみると、BB%(四球割合)が昨季から大幅に改善していた。

【高橋礼 年度別BB%】
2018年 10.6
2019年 8.4
2020年 10.9
2021年 19.0
2022年 21.1
2023年 9.5
2024年 4.5

不調時には20%超だったBB%が今季はここまで4.5%。キャリアハイの成績を残した2019年の8.4%の約半分近くにまで抑えられており、リーグでもトップレベルの数字を記録しているのだ。では、なぜここまで大幅に改善したのだろうか。

もちろん高橋自身の制球力が向上したことも一因だろう。ただ、それ以上に阿部慎之助監督が昨年リーグで2番目に多かったチーム与四球(401与四球)を減らすよう、改革に乗り出したことが大きな要因と考えられる。新指揮官はキャンプから投手陣に「困ったらど真ん中」指令を出していた。高橋にとっては、このチーム方針がうまくハマったと言える。

ストレートの平均球速は2019年の135.5キロから今季は132.1キロと3キロ以上遅くはなっているが、それでもアンダースローとしては速い部類に入る。武器としていた速球の威力に加え、ストライクゾーンで大胆に勝負するようになったことが、ここまでの好結果に結びついているようだ。

昨季は現役ドラフトでソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎が、タイミングの取りづらい投球フォームと抜群の制球力でチームトップの12勝を挙げ、リーグ優勝に大きく貢献した。今年もホークス出身の“変則”投手が再びセ・リーグで旋風を巻き起こすのか。サブマリン右腕の今後の投球に注目していきたい。



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