歩きたばこやぽい捨て、広島で増えてる? 2023年度の罰則適用249件、19年度の4倍近くに

本通りを巡回するぽい捨て防止指導員たち

 広島市の喫煙制限区域で歩きたばこをしたなどとして、市条例の違反者に罰則を適用するケースが増えている。2023年度は249件で、19年度の4倍近い。市は20年の健康増進法の改正で、屋内で喫煙できなくなった人たちが屋外に出ていると分析。愛煙家が一定にいる実情を踏まえつつ、受動喫煙対策を話し合う会議を始める。

 市は03年度に施行した「市ぽい捨て等の防止に関する条例」で、本通り(中区)やJR広島駅(南区)など市中心部の3・1平方キロを喫煙制限区域と美化推進区域に設定。ぽい捨て防止指導員が巡回し、灰皿がない場所での喫煙や、吸い殻などの投げ捨てに千円の過料を科している。

 適用件数は増減を繰り返し、19年度に過去最少の63件まで減った後に一転して増加。22年度は過去最多の258件に上った。23年度も横ばいだった。市環境局業務第一課は、健康増進法の改正で飲食店などが原則、屋内禁煙となった影響があるとみている。新型コロナウイルス対策の緩和による人出の増加も一因に挙げる。

 改正法は「望まない受動喫煙の防止を図る」とうたう。一方、建物や敷地が全面禁煙の施設が増えた結果、近くの路上や公園に愛煙家が集い、結果的にたばこを吸わない人が不快に感じる問題も各地で生んでいる。

 市は、医療や経済、地域団体の関係者たち約10人でつくる懇談会を6月ごろまでに始め、課題を整理したい考え。健康推進課は「実効性のある対策につなげたい」としている。

© 株式会社中国新聞社