舞う花の中、輪になって 長井・伊佐沢念仏踊り披露

花びらが舞う中で繰り広げられた伊佐沢念仏踊り=長井市・伊佐沢の久保ザクラ前

 長井市伊佐沢地区に伝わる県指定無形民俗文化財の伊佐沢念仏踊りが21日、同地区にある国指定天然記念物「伊佐沢の久保ザクラ」前で披露され、訪れた見物客が郷土芸能の優美な世界に触れた。

 地元の保存会(渋谷豊朗会長)の会員約30人が踊り手と奏者を務めた。太鼓と横笛の音色に合わせ、かねを打ち鳴らす「道心坊」などの役割に扮(ふん)して円状に連なって踊り歩いた。大名行列や歌舞伎の要素を取り入れていることが特徴で、軍配を持つ「行司」や化粧まわしの「相撲」、はさみ箱を担ぐ「奴(やっこ)振り」、振り袖の「花笠」などが独特の踊りで会場を沸かせた。

 周囲の桜から花びらが舞い散る中、訪れた住民らはカメラを向けながら公演に見入っていた。

 約500年前に地元の曹洞宗玉林寺が建立された際の奉納が始まりとされる。1966(昭和41)年に地域住民の手によって復活し、86年に県無形民俗文化財に指定された。

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