清華大学の研究チーム、スマート光演算チップレットを開発

清華大学の研究チーム、スマート光演算チップレットを開発

パッケージングされた干渉・回折ハイブリッド集積スマート光コンピューティングチップレット。(2023年12月4日撮影、北京=新華社配信)

 【新華社北京4月22日】中国北京市にある清華大学の研究チームはこのほど、干渉・回折ハイブリッド集積設計と広範囲分散型コンピューティングアーキテクチャーによる、1ジュール(1ワット×1秒)当たり160兆回の演算が可能な高い演算能力とエネルギー効率を持つスマート光コンピューティングチップレット(大規模な回路を複数の小さなチップに個片化したもの)を開発し、大規模モデルの汎用スマートコンピューティングの新たな道を模索した。研究成果は12日、国際的な学術誌「サイエンス」に掲載された。

 従来のシリコンベースの電子コンピューティングはポストムーア時代で、演算能力と消費エネルギーという二重の制約に直面しており、人工知能(AI)大規模モデルの発展と応用を支えることが難しくなっている。

 光波を用いたスマートコンピューティングは高速で省電力といった特長を持つにもかかわらず、これまでは簡単な文字の分類や画像処理などの作業に限られていた。その原因は、光の潜在的な高性能コンピューティング能力が電子コンピューティングアーキテクチャーに縛られて、コンピューティング規模が制約され、複雑なスマートコンピューティングのニーズを満たせない点にあった。

清華大学の研究チーム、スマート光演算チップレットを開発

研究室に集合した清華大学光電智能技術クロスイノベーションチームのメンバー。(3月4日撮影、北京=新華社配信)

 大規模なスマート光コンピューティングの難題に対し、同大学電子工学部の方璐(ほう・ろ)副教授の研究チーム、同大学信息科学技術学院院長を務める戴瓊海(たい・けいかい)中国工程院院士(アカデミー会員)の研究チームは、従来の深層ニューラルネットワークによる電子コンピューティングモデルから脱却し、スマート光コンピューティングの普及モデルを構築。「太極」を意味する「Taichi」と名付けられた干渉・回折分散型コンピューティングアーキテクチャーを作り、この新たなアーキテクチャーを基に光の干渉と回析の長所をさらに模索して、干渉・回折ハイブリッド集積設計のスマート光コンピューティングチップレットを開発した。

 研究論文の筆頭著者で、同大学大学院電子学博士課程の徐智昊(じょ・ちこう)氏によると、「Taichi」は全体的なシステムエネルギー効率が世界的に高性能なAIチップに比べて3桁向上しており、複雑なスマートタスクをマルチチャンネルで高並列なサブタスクに分解可能。自然なシーンでの千種類のオブジェクト認識やクロスモーダルコンテンツ生成など、光コンピューティングによる複雑なAIタスク処理を実現するという。

 研究チームは現在、スマート光コンピューティングチップレットを用いて大規模モデルのトレーニングや推論、汎用人工知能(AGI)といったAIの研究と応用を支援すべく、演算能力研究室建設に向けた話し合いを関係機関との間で進めているという。

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