「橘湾サーモン」今月から水揚げ 夏の赤潮避け、ブランド化へ意欲 長崎の巻き網漁業会社 

橘湾で養殖したサーモンを水揚げする従業員=雲仙市南串山町

 長崎県雲仙市南串山町の巻き網漁業会社「天洋丸」(竹下千代太社長)が、橘湾でサーモンの養殖に取り組んでいる。17日には約300匹を水揚げした。県内でサーモンの海上養殖は珍しく、「橘湾サーモン」として特産品に育てたいと意欲を見せている。
 同社は橘湾内で中型巻き網船団を操業し、煮干し加工用のカタクチイワシなどを取っている。脂が多く、煮干しに向かないイワシをエサに混ぜ、2015年から橘湾でサバの養殖を始めた。「ニボサバ」として昨年秋から本格的に売り出す予定だったが、7月下旬に赤潮が発生。4分の3に当たる約1万5千匹が被害に遭い、約1千万円の損失が出たという。
 そこで同社はサーモンに着目。サーモンの養殖時期は冬から春にかけての低水温期で、夏場の赤潮の時期を避けられるためだ。地元産の魚種を増やし市内飲食店で提供すれば、観光にも役立つのではないかと考え、今年1月から約600グラムの中間魚を育てている。
 今月初めて水揚げし、17日は3回目。岸壁から約500メートル離れた養殖場から、丸々と太った1.7~2.5キロのサーモン約300匹を水揚げした。鮮魚として地元スーパーなどに売ったほか、骨と皮を取りブロックにする冷凍加工を業者に委託。自社インターネットサイトで販売する(価格は約600グラム3千円~)。
 ほどよく脂が乗って弾力があるという「橘湾サーモン」。牧島一仁養殖課長は「『橘湾でサーモン?』と驚いてほしい。鮮魚ならこの時期に雲仙市内で、冷凍なら解凍して刺し身で楽しんでほしい。ふるさと納税の返礼品にできるようブランド化したい」と話した。

橘湾サーモンの刺し身(天洋丸提供)

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