明治44年製造の路面電車がアメリカの電車博物館へ 1960(昭和35)年4月 映像タイムマシーン“ユウガク”【長崎】

ちょっとひととき…懐かしい “昭和の長崎”を感じてみてください。
NBCライブラリーに残る映像で振り返ります。

全国各地を走っていた路面電車たちが、第2の故郷として現役で走っていることで知られる長崎の路面電車。長崎では、仙台、東京、福岡などで運行を終えたあと、移籍してきた車両がまだまだ現役で走っていることで有名です。ちょっとレトロな街並みに路面電車がぴったり溶け込んでいます。

そんな長崎を走っていた路面電車のなかで《明治生まれの路面電車》が、アメリカの電車博物館に“お嫁入り”したのをご存じでしょうか。

この電車は1911(明治44)年に製造された国内でも最古参の路面電車です。車両は日本車両が大阪市向けに製造し、モーターはアメリカ製でした。その後、福岡で走っていましたが被爆後の復興計画の一環として長崎に移されました。

1860年の日米通商修好条約締結から100年を記念して、両国の間で縁談話が持ち上がり、アメリカメイン州ケネバンクポート市の電車博物館(Seashore Trolley Museum)に贈られ、保存されることになったのです。

1960(昭和35)年、長崎電気軌道の車両基地で134号電車は日本通運のトラックに載せられ、走り慣れた長崎市内を移動しています。

長崎港に到着後、厳重に木枠で梱包されました。クレーンでつり上げて運搬船に積み込む様子が記録されています。

長崎市民に親しまれた134号電車は、海を越えてアメリカへ──

その後、134号電車はいったん神戸まで運ばれたあと、定期船に載せ換え、旅立っていきました。

電車博物館のwebサイトによると、134号はアメリカに渡ったあと、メイン州ケネバンクポート市の電車博物館で大切に保存され、今でもその姿を見ることができるようです。

放送局が撮影した 長崎の映像を配信している『ユウガク』より

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