損失が出ている株があるのですが、いつまで持ち続けるか迷っています。「損切り」をしたほうがいいでしょうか?

損切りとは

「損切り」とは、保有している株式が損失を抱えている状態で売却して損失を確定させることで、ロスカットともいいます。一般的に購入後下落した株式の株価回復が難しいとされたときには、損切りが有効になるケースがあります。

なぜなら、損切りをして損失額を確定させることで、それ以上損失が膨らまないようにすることができ、その売却資金で他の株式を買うことでその損を穴埋めすることも可能になるからです。

ちなみに、利益が出ている株式を売却して利益を確定させることを「利食い」、損失が出ている株式をそのままにしておくことを「塩漬け」、損失が出ている株式をさらに買い増しすること「ナンピン(難平)買い」といいます。

損切りをしないデメリットは?

損切りをしない(=塩漬けにする)デメリットは、主に以下の3つがあります。

1.損失が拡大する可能性がある

何となく売却のタイミングを逃し、塩漬けにしておくことでさらに株価が下がり、損失が拡大する可能性があります。株価が下降局面に入ったのが分かった時点で早めに損切りすればいいものを、株価の回復を期待して株を保有し続けるのは人として当然の心情です。

具体的に株価が下がったのをみて「下がったらいずれ上がるだろう」などと、根拠のない希望・期待をして株の保有し続けているときに、売りが売りを呼ぶ状況になってしまい、株価がさらに降下し損失より大きなものにすることも十分に考えられます。

2.他の投資機会を逃す

株価が下がって損失を出している株式を保有し続けることで、他の有望な銘柄に投資する機会を逃してしまうかもしれません。

多くの方は投資資金に限りがありますので、塩漬けにしてある株式に資金を拘束されることによって、他の株式の購入が難しくなります。そもそも損失を出している株式が、投資対象として適当かどうかを考える必要があります。

したがって、一時的に損をしたとしても他の株式の購入資金にまわすことで、より有望株を購入する機会が増えて、より利益を追求できます。

3.精神的な負担が出てくる

含み損があるのに、意気揚々としている方はいらっしゃらないと思います。また、人の心理として、まだ確定していなくても資産減少や損失増加の状況であれば、焦って取り戻そうとしてしまいます。

しかし、そのような精神状況(冷静ではない状況)で取引をしてもロジカルな判断ができるとは思えず、判断ミスを誘発したり、取引そのものを間違えたりする可能性が大きくなり、さらに損失も大きくなるかもしれません。

そうならないよう、含み損を抱えている株式を早めに損切りすることによって、悪循環を切るようにします。

損切りの基準・ルール・方法は?

損切りの基準は、個々人のリスク許容度や投資スタイルによって決まります。

したがって、一般的にという考え方はありませんが、長期保有の投資を行う場合は損切りの幅を広めに、短期売買をする場合は狭めに設定されていることが多いです。ルールの決め方は、主に以下の2つがあります。

1.損失率や損失額で損切りラインを決める

損切りラインを設定する場合、損失率や損失額を基準にする考え方です。購入した株式の購入価格をベースラインとして、「購入時点の株価から〇%下落したら損切りする」「株価が〇円下落したら損切りする」と決めてしまうことによって機械的に売買できます。

注意点としては、株式によっては値動きが激しいものや緩やかなものがあるということです。また、同じ1%でも株価が300円の株と3万円の株であれば違ってきます。

したがって、上記の○%や○円は一律にするのではなく、ご自身の実際の株取引を通じて感じたものや経験したものによって、個別株の特徴によって、決めることをお勧めします。

2.トレードの根拠が失われたら損切りする

テクニカル分析やファンダメンタルズ分析など分析の結果購入した株式の場合、その根拠が崩れたら損切りします。

例えば、テクニカル分析を行って移動平均線を使った方法で、移動平均線を株価が割り込んだ場合は、損切りのタイミングとなります。同じく、ファンダメンタル分析を行って事業内容に成長性があると考えた場合は、業績の悪化が発表されるなど成長が見込めなくなったときがそのタイミングです。

損切りは利益を出すためには必要な行為

株式投資初心者だけでなく、何十年も株取引をしている方でも損切りは難しい行為です。しかし、これを行うことがより多くの利益を生み出すために必要なものだと割り切ることが必要でしょう。

執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

© 株式会社ブレイク・フィールド社