ゲームプログラミング入門書、横浜の15歳が完成 「ないなら自分で書く」制作経験盛り込んだ380ページ

「日本のプログラミングレベルを上げたい」と意気込む杉山悠真さん=3月27日、横浜市磯子区

 ゲームプログラミングの初心者向け入門書を、10代の少年が完成させた。横浜市磯子区に住む杉山悠真さん(15)の「僕自身、ゲームが大好き。いろいろな人がゲームを作れるようにしたい」という情熱が、全約380ページにも及ぶ力作に結実した。販売に向けた準備や全国の中学校への寄贈に向け、5月末までクラウドファンディング(CF)で支援を募っている。

 杉山さんがプログラミングを知ったのは、ゲームが大好きな小学3年生の頃だった。「ゲームを作る側もすごい楽しいんだな」。プログラミングの本を読みあさり、次々と新たな技術を習得。小学6年生までに手がけた作品は800近くにも上った。

 「ゲームの作り方が知りたいのに、何で基礎の説明ばっかりなんだろう」。子ども向けの解説本を読むたびに疑問を抱いた。本当に知りたいゲーム作りのノウハウにはなかなかたどり着けない現状を変えようと、実用的な一冊を自らの手で生み出すことを決めた。

 執筆活動を始めたのは中学2年の冬。当時は騒音やコミュニケーションが苦手でクラスになじめず、不登校になっていた。「プログラミングに救われたんですよね。熱中できるものを手に入れた」。実際にゲームを作成しながら、場面ごとに画面をスクリーンショットで撮影し、説明文を添えていった。ただ、初心者に向けた説明文を書く作業で手が止まった。「基礎知識がない子どもでも理解してもらえる説明が難しくて」。気が付くと、理想とはほど遠い、専門用語だらけの今まで見てきたような一般的な入門書と同じようなものになってしまっていた。

 それでも、杉山さんは諦めなかった。「面白いゲームが作れることをまず見せ、それに必要な知識を付けていく方が絶対に楽しい」。初心を貫き、2作目の入門書作成に取りかかった。

 簡単なゲームを作成する章を第一章に据え、楽しみながら読み進めることができる点にこだわった。さらに、子どもが感じるであろう疑問を率直にぶつけるキャラクターを登場させるなど、わかりやすさを重視して完成にこぎ着けた。製本過程は杉山さんの父も手伝い、現在は販売や全国の中学校への寄贈に向けた準備を進めているという。

 「楽しく読めるものを作ろうと、これまで自分が感じた疑問を詰め込んだ。この本をきっかけに、ゲームをつくる人が増えたら最高ですね」。同世代の仲間が抱くプログラミングは難しいという固定概念を払拭し、世の中にもっともっと面白いゲームが誕生することを楽しみにしている。

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 CFは5月末まで実施しており、目標額は50万円。詳細はCF専用サイト「CAMPFIRE」(https://camp-fire.jp/projects/692773/backers)。

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