学校存続へ…保護者が魅力発信 長崎・五島の奥浦小 見学会など企画、小規模校の良さ伝える

「奥小の守」が開いた校内見学で、校舎そばの川に立ち寄る親子ら=昨年10月、五島市立奥浦小

 児童数の減少から統廃合の検討対象に挙がっている長崎県五島市奥浦町の市立奥浦小。保護者らが小規模校のメリットや豊かな自然環境の中で学べる特長を生かし、他校区からも通学可能な制度をアピール。学校見学会を開くなどして、学校存続に向け活動している。
 同校は市役所から北に約5キロ、車で10分ほどの、山と海に近いのどかな地域にある。校舎のすぐそばを流れる前田川は5、6月にホタルも飛び交う清流だ。
 児童数は約40人。全て複式学級で学んでいる。五島市内には現在、小中併設を含め小学校11校、中学校9校がある。市教委は2年ほど前から、統廃合の検討基準に達した6校についてアンケートや保護者懇談会などを実施してきた。このうち4校については「一定の理解を得た」として、この春に統合。奥浦小と盈進小(富江町)は引き続き協議を続けていくとしている。
 一方、市教委は2000年から、市中心部で児童数の多い福江小、緑丘小から奥浦小に通うことができる「校区外通学特定地域選択制度(のびのびふれあいスクール事業)」を始めた。少人数と豊かな自然環境の中で教育を受けてもらうのが目的で、その後、受け入れ校を奥浦小以外にも拡大。18年度からは中学校にも広げ、福江中校区外への通学が可能となった。希望する児童生徒は住所を変更することなく、通学可能な範囲の市内小中学校へ転入学することができる。
 こうした中、奥浦小の保護者らは昨年、同校や地域の魅力を知ってもらおうと、地元まちづくり協議会の中にグループ「奥小の守(もり)」(山﨑早苗代表)を発足。パンフレットや交流サイト(SNS)で情報を発信している。
 昨年10月、同グループは校内見学会を開催し、校区外の5組の親子が参加。学校の敷地を巡り、担当者から、昼休みに川遊びをしたり、田畑でコメやサツマイモの栽培、収穫体験を行ったりすることを聞いた。授業の様子も見学。同制度を利用している児童の保護者からも体験を聞いた。
 ある母親は「学校生活を実際に見てのびのびと学べる雰囲気だと感じた。子どもが大人数の学校ではなじめずに転校も視野に考えている」と話した。その後、3人の児童が転入したという。
 奥小の守は本年度、校内見学会を7月に開く予定。自身の4人の子どもが同校に通った山﨑代表(51)は「学校と地域が一体で、子どもを見守ってくれる。小規模校だからこそ幅広い体験もできる」と語っている。

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